防衛関連株は今が買い時?専門家が語る2025年の投資戦略

  • 2025年3月6日
  • 2025年3月6日
  • BS余話

米国の防衛関連株が3月5日の米国市場で反発し、投資家にとって一時的な安堵材料となりました。ドナルド・トランプ大統領の発言に加え、「株価が十分に下落した」というウォール街の見解が影響を与えています。

5日の取引開始時点で、ロッキード・マーティン(LMT)、ノースロップ・グラマン(NOC)、ジェネラル・ダイナミクス(GD)、L3ハリス・テクノロジーズ(LHX)の株価は、昨年11月5日の大統領選挙以降、平均で約15%下落していました。

ボーイング(BA)やRTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)も防衛関連の大手企業ですが、主に商業航空部門の業績見通しに影響されるため、防衛関連の動向だけでは株価の方向性を判断しにくい状況です。中小型の防衛関連企業であるハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)やエアロバイロンメント(AVAV)は、選挙以降、それぞれ約11%、35%の下落となっていました。

防衛関連株に対する懸念と市場の評価

投資家の間では、トランプ大統領が求める「効率化」、ウクライナ支援に対する姿勢の変化、欧州諸国に防衛費の負担を求める方針が、米国の国防予算の削減につながるのではないかとの懸念が広がっています。

しかし、シティグループのアナリストであるジェイソン・ガースキー氏は、5日のレポートで「今が買い時」との見解を示しました。

トランプ大統領の発言が防衛関連株に与えた影響

ガースキー氏によると、トランプ大統領が4日に行った議会演説が防衛関連企業にとってプラスに働く可能性があります。トランプ大統領は米国全土を守る「ミサイル防衛ドーム」の開発を目指すと発言しており、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマン、RTXにとっては追い風となります。また、海軍の造船計画を強化する方針も示しており、ハンティントン・インガルス・インダストリーズにとって有利な環境となると考えられます。

さらに、トランプ大統領は「ウクライナの平和を確保する」と述べ、ロシアから交渉の意思があることを強く示唆していると発言しました。これにより、強力な軍事力の確保が不可欠であるとの見方が広がっています。

防衛関連株の評価は過度に低いのか?

ガースキー氏は、現在の防衛関連株のバリュエーションは「米国の防衛関連の売上が今後も横ばいで推移する」との前提に基づいているが、これは過度に保守的すぎるとの見方を示しています。同氏は、ジェネラル・ダイナミクス、ハンティントン・インガルス・インダストリーズ、L3ハリス・テクノロジーズ、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマン、RTXの株式について「買い」推奨を継続しています。

投資家心理が改善するきっかけ

今後、防衛関連株に対する市場の見方を変える可能性のある要因として、ガースキー氏は以下の点を挙げています。

  • 2025年度の米国政府予算の成立
  • 2026年度予算案の提示
  • 米国および欧州各国からの新たな契約発注

これらの要因が進展すれば、市場の懸念が和らぎ、防衛関連株の評価が見直される可能性があります。

欧州の防衛関連株は大幅上昇

トランプ大統領の発言や米国防衛関連株の動向は、欧州の防衛関連企業にも影響を与えています。イギリスのBAEシステムズ(BA)、ドイツのラインメタル(RHM)、イタリアのレオナルド(LDO)、フランスのタレス(HO)は、昨年11月5日の選挙以来、平均で約83%上昇しました。

5日の欧州市場では、これら4銘柄が平均で約5%上昇。一方で、ロッキード・マーティン、ジェネラル・ダイナミクス、ノースロップ・グラマン、L3ハリス・テクノロジーズの株価は、米国市場の序盤で平均1%程度の上昇となりました。

米国と欧州の防衛関連株の時価総額変化

この数か月間の株価変動により、米国の主要防衛関連株の時価総額は約500億ドル減少した一方で、欧州の防衛関連株は約800億ドルの時価総額増加となりました。

まとめ

防衛関連株は、ここ数か月の下落から反発の兆しを見せています。トランプ大統領の国防政策が市場の見方を変える可能性があり、特に米国の国防予算の決定や新規契約の発注が今後の株価の方向性に大きな影響を与えることが予想されます。

また、欧州の防衛関連企業はすでに大幅な上昇を見せており、米国企業との差が拡大しています。今後の政策動向や市場環境の変化によっては、米国の防衛関連株も見直される可能性があるため、引き続き注視する必要があります。

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