スーパー・マイクロ・コンピュータ(SMCI)の株価は、2月27日の米国市場で大きく変動しました。プレマーケットで急騰した後、27日の取引開始直後に急落しました。同社は財務報告書の提出遅延によりナスダックからの上場廃止リスクが懸念されていましたが、25日遅くに提出期限を守り、この問題を回避しました。
スーパーマイクロの株価変動と市場の反応
スーパーマイクロの株価は27日の取引開始直後に大きく下落し、昼過ぎの段階で10.94%安の45.52ドルを記録しました。同社の株価は26日に12%上昇し、4日連続の下落を止めましたが、一時は30%の上昇を記録していたため、その後の反落が注目されました。
エヌビディア(NVDA)の第4四半期決算は、スーパーマイクロを含むAI関連銘柄の市場動向に影響を与えると予想されていました。26日の市場終了後に発表された決算は予想を上回るものでしたが、27日の昼過ぎの段階でエヌビディアの株価は4%近く下落しました。ただし、オプション取引の動向から、株価が取引レンジ内で推移する可能性が示唆されています。
ウォール街アナリストの評価と目標株価
スーパーマイクロに対するウォール街のアナリストの評価は分かれています。バークレイズのアナリスト、ジョージ・ワン氏は27日に「ホールド」の格付けを復活させ、目標株価を59ドルとしました。同氏は、「スーパーマイクロはAIサーバーと液体冷却技術で優位性を持っているものの、競争力のある堀(競争優位性)は縮小している」と指摘しました。
一方、ループ・キャピタルのアナリストは26日に目標株価を40ドルから70ドルに引き上げました。これは、同社の財務報告書提出が完了したことや、AI市場の成長が今後の業績を押し上げると期待されているためです。
スーパーマイクロの株価推移と市場の懸念
ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによると、スーパーマイクロの株価は2024年3月13日の終値118.81ドルから約57%下落しました。しかし、2024年11月14日に記録した年初来安値18.01ドルからは約180%上昇しています。
過去6か月間、スーパーマイクロの株価は会計上の問題や内部統制の欠如に関する報道によって圧力を受けていました。2024年10月には、同社の元監査人であるアーンスト・アンド・ヤングが財務諸表への関与を拒否し、監査役を辞任しました。また、2024年8月には空売り投資会社のヒンデンブルグ・リサーチが、「スーパーマイクロの財務には明白な赤信号がある」と主張し、投資家の不安を煽りました。
スーパーマイクロの対応と今後の見通し
こうした懸念を受け、スーパーマイクロは新たにBDOを監査役として任命しました。さらに、独立機関による調査の結果、不正や不祥事の証拠は見つかりませんでした。同社は現在、財務報告書の提出要件を遵守しており、ナスダック上場維持の問題は解決しています。
しかし、バークレイズのジョージ・ワン氏は「スーパーマイクロの過去の問題は、投資家が同社の株価収益倍率(PER)を高く評価することを抑制する可能性がある」と指摘しています。つまり、今後の株価回復には、業績の改善とともに、投資家の信頼を取り戻すことが重要になると考えられます。
まとめ:スーパーマイクロの今後の投資判断
スーパーマイクロの株価は大きな変動を見せており、財務報告の遅延問題を乗り越えたとはいえ、依然として市場の懸念は残っています。AI市場の拡大が同社にとって追い風となる可能性は高いものの、競争環境の変化や過去の会計問題による投資家の慎重姿勢が、短期的な株価の上昇を抑える要因となるかもしれません。
ウォール街のアナリストの目標株価は59ドルから70ドルと幅がありますが、投資家は今後の業績発表や市場動向を注視しながら、慎重な判断をする必要があります。
*過去記事はこちら スーパー・マイクロ・コンピュータ SMCI