エヌビディアの決算報告後の株価停滞と今後の展望

エヌビディア(NVDA)の決算報告は、かつて市場全体を揺るがすほどの影響力を持つイベントでした。しかし、2月26日に発表された最新の決算報告後、株価の反応は以前ほど劇的ではなく、ウォール街の投資家たちはやや期待外れの感想を抱いています。27日の米国市場では昼過ぎの段階で株価が3.4%下落しました。この決算後の冴えない値動きにより、株価はここ数か月間の停滞を続けています。

現在、エヌビディアの株価は2024年6月中旬の水準で推移しており、アナリストたちは次の大きな転換点がどこにあるのかを議論しています。その中で注目されているのが、3月17日に開幕するエヌビディアの開発者向けイベント「GTC」です。このイベントが今後の株価の行方を左右する可能性があると考えられています。

GTCがエヌビディアの株価に与える影響

エヌビディアの技術力を評価するアナリストの中には、GTCが同社の強力なポジショニングを改めて市場に示し、数年先の製品ロードマップに対する期待感を高める機会になると考える者もいます。ローゼンブラット証券のアナリストであるケビン・キャシディ氏は、「堅調な四半期決算を終えたことで、投資家の関心はGTCに移っている」と指摘しています。さらに、同イベントではエヌビディアの技術ロードマップや、新たなAI推論のユースケースに関する最新情報が発表されると予想されており、これが市場の関心を集める要因になると見られています。

また、エヌビディアはすでに「ブラックウェル」を展開し、その後「ルービン(Rubin)」と呼ばれるチップを発表する計画を進めています。決算説明会では、最高経営責任者(CEO)のジェンスン・フアン氏が「ルービン以外のプラットフォームのアップデートについても示唆した」と、サスケハナのアナリストであるクリストファー・ローランド氏は述べています。これらの新製品の詳細がGTCで明らかになる可能性があり、投資家の関心が高まっています。

GTCが株価を押し上げるか?アナリストの見解

一方で、米国みずほ証券のアナリストであるジョーダン・クライン氏は、GTCがエヌビディアの株価低迷の直接的な解決策にはならないと考えています。「GTCが株価を大きく押し上げる要因になるとは言えないし、そのイベントに向けて積極的に買いを入れるべきだと考えている機関投資家も見当たらない」と述べています。

しかし、クライン氏は株価を押し上げる要因が他にもあると指摘しています。投資家の間では、決算後に「本当の」押し目買いのタイミングを待つ声があり、このセンチメントが市場の買い意欲を支えているようです。通常、このような状況では、想定よりも早く買い手が現れ、それが株価の上昇につながるケースが多いと考えられています。また、株価が上昇し始めると、「FOMO(買い逃しの恐怖)」による追随買いが発生する可能性もあります。

株価回復のカギを握る要因

エヌビディアの今後の株価上昇のためには、いくつかの要因が重要になります。まず、投資家はより大きな売上の上振れや、粗利率の拡大を期待しています。これが実現するのは、エヌビディアが「ブラックウェル」の提供を本格化させる2025年7月期以降になる可能性があります。

さらに、ウォール街のアナリストたちは、エヌビディアがソブリン・バイヤー(政府系顧客)や大手クラウド・プロバイダー以外の企業にも製品を展開し、新たな顧客基盤を拡大することに注目しています。もしこの点での進展が見られれば、エヌビディアの株価は2025年後半に向けてさらに上昇する可能性が高まると考えられます。

まとめ

エヌビディアの決算発表後、株価は3.4%下落し、依然として数か月間の停滞が続いています。3月17日からのGTCが市場に与える影響は不透明ですが、技術ロードマップの発表や新製品の情報公開によって、投資家の期待感が高まることは間違いありません。

また、今後の株価上昇には、売上の上振れや粗利率の改善、新たな顧客層の獲得がカギを握ると考えられています。これらの要因が実現すれば、2025年後半には株価の上昇が期待されます。

エヌビディアの株価動向を注視しつつ、適切なタイミングで投資判断を行うことが重要になります。今後のイベントや決算発表を見極めながら、戦略的な投資を検討することが求められます。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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