AIブームを牽引する企業として注目される米国の半導体メーカー、エヌビディア(NVDA)は2月26日、2024年11月〜25年1月期決算を発表しました。最新の四半期決算では、新たなチップアーキテクチャ「ブラックウェル(Blackwell)」の成功を強調し、投資家を安心させる内容となりました。
株価は発表直後の時間外取引では、26日の終値付近で一進一退で推移していましたが、決算説明会でのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)での発言が伝わったあと上昇に転じ、2%近く上昇しています。
第4四半期の売上は393億ドル、堅調な成長を維持
エヌビディアの2025年1月26日に終了した第4四半期の売上は393億ドルに達しました。一部の予測では420億ドルという見方もありましたが、概ね市場予想に一致する結果となりました。これは2年前の年間売上270億ドルを上回る規模であり、エヌビディアの急成長を示すものです。
また、特定の項目を除いた1株当たり利益は89セントとなり、ウォール街の予想である84セントを上回りました。同社の最大の売上源であるデータセンター部門の売上は356億ドルに達し、アナリスト予想の341億ドルを上回る結果となりました。一方、ゲーム関連の売上は25億ドルで、予想されていた30億2000万ドルを下回りました。
ブラックウェルの成功とAIチップ市場の成長
エヌビディアは、新たなAIチップ「ブラックウェル」に対する需要が非常に強いことを強調しています。第4四半期におけるブラックウェルの売上は110億ドルに達し、「最速の製品立ち上げ」とジェンスン・フアンCEOも自信を見せました。
AI市場では、データセンターの設備投資に対する不安や、中国企業ディープシークのような競争相手の台頭が影響を与えています。しかし、マイクロソフトやグーグルなどの大手テクノロジー企業は依然としてAI分野への投資を拡大しており、エヌビディアの事業は今後も成長を続ける見込みです。
2025年第1四半期の見通し
エヌビディアは、2025年4月までの第1四半期の売上を約430億ドルと見込んでいます。アナリストの平均予想である423億ドルを上回る数値であり、AI市場の拡大を背景に堅調な成長が続くと予測されています。
ただし、売上総利益率は市場予想をやや下回る可能性が指摘されています。これは、供給制約や新技術への移行コストが影響していると考えられます。
AI市場の不確実性とエヌビディアの今後
エヌビディアの株価は、データセンター事業者の支出減速や、AI技術の進化による需要の変化を背景に、2025年に入って2.2%下落しています。しかし、同社は過去5年間において四半期売上がアナリスト予想を下回ったのは1度だけであり、予想を大幅に上回る決算を続けてきました。
また、データセンター部門の売上規模は、競合であるインテル(INTC)やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の合計を超えており、エヌビディアの市場支配力が揺るがないことを示しています。
まとめ:エヌビディアの成長は続くのか?
エヌビディアは、AI市場における圧倒的なリーダーとしての地位を維持しながら、新たな技術革新を進めています。AIチップ市場の競争が激化する中でも、ブラックウェルの成功やデータセンター部門の成長により、今後も堅調な業績を維持する可能性が高いと予想されます。
しかし、競争環境の変化やAI技術の進化に伴い、エヌビディアの成長が鈍化するリスクもあります。特に、中国企業によるAI技術の台頭や、供給制約の影響は今後も注視すべきポイントです。
それでも、エヌビディアはAI革命の象徴的な存在であり、その影響力は今後も続くと思われます。市場の期待が高まり続ける中、同社の成長戦略と技術革新の動向に引き続き注目が集まります。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA