2025年に入り、エヌビディア(NVDA)の株価は不安定な動きを見せています。しかし、個人投資家の人気は依然として高く、多くの投資家が決算発表後の株価上昇を期待している状況です。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は2月25日付けの記事「Nvidia Had a Rough Start to 2025. Investors Still Love the Stock.」で、エヌビディアの現在の市場動向について詳しく報じています。本記事では、WSJの記事の内容を紹介しながら、エヌビディアの今後の見通しについて考えていきます。
株価は不安定ながら個人投資家の期待は高い
WSJの記事によると、エヌビディアは1月下旬、中国企業ディープシークが低価格の人工知能(AI)モデルを発表した影響で、一時的に株価が急落しました。このニュースにより、1日で6000億ドル近い市場価値が失われたものの、その後の株価は一部回復しています。
それでも、エヌビディアの株価は2022年末から約800%の上昇を見せていたものの、2025年に入ってからは5.7%の下落、ディープシークの発表前の1月24日からは11%下落しています。しかし、個人投資家の信頼はほとんど揺らいでおらず、WSJは次のように報じています。
「バンダリサーチのデータによると、個人投資家は2月中旬までに58億5000万ドルをエヌビディア株に投資しており、これは前年同期の2倍以上。ディープシークのニュースが影響した日の投資額は5億6200万ドルに達し、2014年以降で1日あたり最高額を記録した。」
このデータからも、エヌビディアに対する個人投資家の期待の高さがうかがえます。
エヌビディアへの買い注文が急増
投資プラットフォーム「インタラクティブ・ブローカーズ」のデータによると、エヌビディアの買い注文は2月18日までに約55万4000件に達し、2025年の取引ランキングで上位2銘柄の一つとなっているとWSJは報じています。特に、AI関連株が下落した週には、20万件以上の注文が入ったとのことです。
さらに、ウォール街の著名なアナリストであるウェドブッシュ証券のダン・アイブズ氏は、WSJに対して次のように述べています。
「エヌビディアはAI革命の中心にあり続ける。この状況を変えるものは何もない。」
AI市場の発展が続く限り、エヌビディアがその中心的な存在であり続けるという見方は、多くの投資家の間で共有されているようです。
決算発表前に活発化するオプション取引
エヌビディアの決算発表を控え、投資家たちは株価の上昇を見越してオプション取引を活発化させています。Cboeグローバル・マーケッツのデータによると、最近のエヌビディア株で最も活発に取引されているオプションの多くは、株価が145ドルや160ドルに上昇することを見込んだコールオプションです。
エヌビディアの株価は2月25日時点で126.63ドルであり、1月6日に記録した史上最高値149.43ドルから15%下落しています。しかし、投資家の間では、決算発表後の株価の上昇に期待する動きが強まっています。
決算発表後の株価変動予測
WSJは、ファクトセットのデータを基に、エヌビディアの四半期決算の業績予想について以下のように報じています。
「エヌビディアは、26日の市場終了後に決算を発表する予定で、売上は前年比で59%増、売上高は72%増となることが予想されている。」
また、オプション・リサーチ・アンド・テクノロジー・サービスのデータによると、エヌビディアの決算発表後の取引セッションで、株価が約9%変動する可能性があるとされています。過去12回の決算発表後、エヌビディアの株価は平均8%程度変動しており、今回も同様の動きを見せる可能性があります。
長期的な視点でエヌビディアを評価する個人投資家
多くの投資家にとって、エヌビディアへの投資はAIの未来に対する信頼を意味します。WSJの記事では、エヌビディア株を長期保有する個人投資家の声も紹介しています。
76歳の弁護士マックス・シェヒナー氏は、2019年に4.82ドルでエヌビディア株を購入し、現在のポートフォリオの約10%を占めるまでに成長しました。同氏はディープシークのニュースがあった際も株を売らず、
「私は壺に手を突っ込んだ猿のようなものだ。どうしても手放せない」
とWSJに語っています。
また、ニュージャージー州ジャージーシティの経営コンサルタント、マイク・スミス氏(34歳)は、次のように述べています。
「私にとっては、あれは一瞬の出来事だった。10年後にエヌビディアの重要性が低下しているシナリオを想像するのは難しい。」
まとめ
ウォール・ストリート・ジャーナルの記事を通じて、エヌビディアの現状を見てきました。AI市場の競争環境が変化し、一時的な株価の変動はあるものの、多くの投資家はエヌビディアの長期的な成長を信じています。
決算発表後の株価変動にも注目が集まりますが、エヌビディアは今後もAI革命の中心的な企業であり続ける可能性が高いと考えられます。
エヌビディアの今後の動向に引き続き注目していきましょう。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA