トランプ政権でビッグテックのM&Aが再び活発化?FTCの最新動向をチェック!

  • 2025年2月19日
  • 2025年2月19日
  • BS余話

米国の連邦取引委員会(FTC)は、新たな議長にアンドリュー・ファーガソン氏が就任したことで、政策の進め方に変化が見られます。トランプ大統領の政権下で、さまざまな政策が迅速に展開されている中、FTCでは手続きを慎重に進める姿勢が強まっています。

アンドリュー・ファーガソン議長の方針とは?

ファーガソン議長は、制度的なアプローチを重視し、ルール策定を段階的に進める姿勢を示しています。特に、企業の合併・買収(M&A)の提出要件が変更される前に、多くの企業が申請を急ぐ動きを見せていますが、新議長はその対応について明確な方針を示しました。

現在のところ、FTCの審査基準には変更はありません。ファーガソン議長はFTCのスタッフ向けの書簡の中で、以下のように述べています。

「この合併の波に対応するにあたり、取引の審査において指針とすべき基準を明確にする。曖昧な点がある場合は、はっきりと伝える。FTCと司法省(DOJ)が2023年に策定した合併ガイドラインは現在も有効であり、当委員会の合併審査の枠組みとして機能する。」

ファーガソン議長の発言からは、「安定性」を重視していることが伝わってきます。実際、1ページ半の書簡の中で「安定」という言葉が5回も使われており、急激な政策転換を避ける意向がうかがえます。

2023年の合併ガイドラインの継続

現在の合併審査の基準は、バイデン政権下でリナ・カーン氏がFTCを率いていた時に策定されたものです。司法省の反トラスト部門を率いるジョナサン・カンター氏とともに約1年半かけて策定されたこのルールは、現在も引き続き適用されています。ファーガソン議長は、今後も合意形成を重視しながらルールの策定を進めていく考えを示しています。

FTCの方針転換:雇用契約の競業避止条項(ノンコンピート)の禁止措置を撤回

ファーガソン議長は、バイデン政権時代のFTCが推進していたいくつかの規制を見直す意向を示しています。特に、雇用契約における競業避止条項(ノンコンピート)を禁止する規則については、昨年、連邦裁判所によって無効と判断されたことを受け、FTCはその復活を目指さない方針です。

また、リナ・カーン氏が主導していた反トラスト法の厳格な適用についても、以前ほど積極的には進めない見込みです。

ビッグテックのM&Aに与える影響

カーン氏がFTCを率いていた時期には、特にビッグテック企業のM&Aに対する規制が強化されていました。実際、バイデン政権時の規制によって、主要テクノロジー企業の合併件数は大幅に減少しました。

  • アップル(AAPL)
    • トランプ政権の1期目(2017~2020年):39件のM&Aが成立
    • バイデン政権(2021~2024年):9件
  • アルファベット(GOOGL)
    • トランプ政権の1期目:122件のM&Aが成立
    • バイデン政権:40件
  • マイクロソフト(MSFT)
    • トランプ政権の1期目:73件のM&Aが成立
    • バイデン政権:39件

ファーガソン議長の下では、以前ほど厳格な規制は課されない可能性がありますが、M&Aの審査プロセスは現行のガイドラインに基づいて進められるため、即座に変化が起こるわけではありません。

今後の見通し:安定したM&A審査へ

ファーガソン議長は、今後のM&A審査について、「ガイドラインは完璧ではない。実務を通じて改訂が必要であれば、従来と同様に修正を検討する。透明性のある修正プロセスを経ることで、ガイドラインの安定性を確保する」と述べています。

現時点では、ビッグテックに対する反トラスト法の適用が大幅に緩和される可能性が高いものの、合併審査そのものは従来のルールに沿って進められる見通しです。しかし、トランプ大統領は迅速な政策遂行を好む傾向があるため、今後、FTCの審査プロセスが加速する可能性もあります。

まとめ

ファーガソン議長の就任により、FTCのM&A審査は安定性を重視したアプローチへと移行しています。短期的には現行の2023年合併ガイドラインが適用されるものの、今後、実務を踏まえた修正が行われる可能性があります。特に、ビッグテックのM&Aに対する規制緩和が期待される中、企業の経営戦略に与える影響が注目されています。

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