2025年の米国株市場において、半導体株が停滞する一方で、ソフトウェア株が堅調な成長を続けています。特に、大型ソフトウェア株の上昇が一段落した後、小型株にも資金が流入し、今後の投資チャンスとして注目されています。今回は、米国の投資情報メディア マーケットウォッチ(MarketWatch) の2月16日付けの記事「Software stocks are on fire. Here’s why the party can keep going this year.」をもとに、ソフトウェア株がなぜ注目されているのかを解説します。
半導体株とソフトウェア株のパフォーマンス比較
マーケットウォッチの記事によると、2025年初めからのパフォーマンスを見ると、ソフトウェア株が半導体株を大きく上回っています。
- iShares Expanded Tech-Software Sector ETF(IGV) は、この6か月間で 約27%上昇
- iShares Semiconductor ETF(SOXX) は、同期間の成長が 1%未満
このデータを見ると、半導体株の成長が鈍化し、ソフトウェア株が市場の主役に躍り出ていることがわかります。記事の中で、金融アドバイザリー企業 Catalyst Private Wealth の創設者ブレンダン・コナントン氏は、「ソフトウェアには一貫性があり、売上成長の安定性が投資家にとって魅力的だ」と述べています。
ソフトウェア株が注目される理由
記事では、ソフトウェア株が注目される理由として以下のポイントが挙げられています。
- 売上成長率の高さ
2024年第4四半期時点で、ソフトウェア企業の売上成長率は 12.15% で、ハードウェア企業の 11.34% を上回っています。 - AI技術の進化による新たなビジネスモデル
AI機能の利用頻度に応じて課金する新しいビジネスモデルが確立されつつあり、企業は安定した収益源を確保できるようになっています。 - 関税リスクの回避
ソフトウェアはクラウドを通じて提供されるため、関税の影響を受けにくい点も投資家にとって安心材料になっています。
半導体株の成長余地はまだあるか?
半導体業界についても、マーケットウォッチの記事では エヌビディア(NVDA)の2025年第1四半期の売上が前年同期比72%増と予測されている ことを紹介しています。この数値は、業界全体の売上成長率を押し上げる要因となるかもしれません。
実際、S&P500の半導体関連企業の売上成長率は 24.6% で、ソフトウェア企業の 11.7% を上回ると予想されています。しかし、現在の市場の流れとしては、ソフトウェア株に資金が集まりやすい状況になっているのが現実です。
小型ソフトウェア株への注目
記事の中では、S&P500に含まれていない 小型ソフトウェア株 に資金が流れていることも指摘されています。具体的な企業として以下が紹介されています。
- マンデードットコム(MNDY):直近の四半期で予想を上回る 32%の増収 を達成し、決算発表後の株価は 27%上昇
- コンフルエント(CFLT):売上が 23%増加 し、株価は決算発表後 25%上昇
米国みずほ証券のTMTセクター専門家であるジョーダン・クライン氏は、「大型ソフトウェア株よりも 小型株や中型株が注目を集めている」と述べています。特に、AIの発展に伴い、ソフトウェア業界のさらなる成長が期待されています。
AIの進化がソフトウェア業界を押し上げる
マーケットウォッチの記事では、AIの進化がソフトウェア業界の成長を後押ししていると指摘されています。AI技術が進むことで、企業はAIソフトウェアの利用料を 使用回数ごとに課金する 形に移行する動きが広がっています。
例えば、AIを活用したコールセンターでは、オペレーターの業務が削減されるため、AIの使用回数に応じて課金する新たな収益モデルが確立されつつあります。このような動きにより、ソフトウェア企業の売上が安定的に拡大する可能性が高まっています。
ソフトウェア企業のリストラと株価の関係
記事では、一部のソフトウェア企業が効率化のためにリストラを実施していることも紹介されています。
- オクタ(OKTA)
- ワークデイ(WDAY)
- セールスフォース(CRM)
これらの企業は相次いで人員削減を発表し、その後株価が上昇する動きが見られました。このように、企業の効率化が投資家に好意的に受け取られ、株価の上昇要因となるケースが増えています。
まとめ:ソフトウェア株への投資が有望な理由
マーケットウォッチの記事をもとに、ソフトウェア株の注目ポイントを整理すると以下のようになります。
- 半導体株よりもソフトウェア株の成長率が高い
- 小型・中型ソフトウェア企業が急成長している
- AI技術の発展による新たな収益モデルが形成されつつある
- 関税リスクがなく、安定したビジネスが展開できる
- リストラを進める企業の株価が上昇傾向にある
特に、成長性の高い小型株に注目することで、より高いリターンを狙うことができるというマーケットウォッチの見方は今後の投資戦略を立てて行く上で参考になります。