外食産業は、多くの投資家にとって理解しやすく、過去半世紀にわたり成功企業を生み出してきました。その中でも、1992年に設立されたダッチ・ブロス(BROS)は、急成長を遂げている企業の一つです。現在、同社は982店舗を展開し、売上は13億ドルに達しています。さらに、株価は最高値を更新し、市場での注目度が高まっています。
スペシャリティ・ビバレッジ・ショップの市場拡大
近年、スペシャリティ・ビバレッジ・ショップの市場が拡大しています。スペシャリティ・ビバレッジ・ショップとは、従来のコーヒーチェーンとは異なり、コーヒーだけでなく、レモネード、エナジードリンク、スムージーなど多様な飲料を提供する店舗のことを指します。特に若年層を中心に、従来のコーヒーショップとは異なる独自のメニューやブランド体験が求められており、こうした店舗が成長しています。
スターバックスが世界的におしゃれなコーヒー文化を普及させましたが、新興ブランドである7Brewやダッチ・ブロスは、さらに一歩進んでいます。特にダッチ・ブロスは、ドライブスルーを主体としたビジネスモデルを採用し、忙しい顧客に素早く飲料を提供することを強みとしています。
この成長の証拠として、ダッチ・ブロスの業績は堅調に推移しています。同社の既存店売上高は昨年、プラス成長を記録しました。一方、スターバックスは売上の減少を経験しています。特に第4四半期の売上高は、32店舗の新規出店と既存店売上高の6.9%増加により、前年同期比で35%増となりました。2025年にはさらに160店舗の開店を計画しており、今後の成長が期待されています。
利益率の改善と新規出店の加速
ダッチ・ブロスは、積極的な事業拡大を進める中で、利益率の改善にも成功しています。2024年の調整後純利益は8,800万ドルで、前年の5,000万ドルから大幅に増加しました。これは、店舗数の拡大だけでなく、経営の効率化が進んでいることを示しています。
また、新規出店のペースも順調です。2024年は年間で160店舗をオープンしており、これまで以上のスピードで市場シェアを拡大しています。現在、ダッチ・ブロスは18州で営業しているため、今後数年間でさらなるエリア拡大が見込まれます。
社内登用制度がブランドの強みを支える
ダッチ・ブロスの成長を支えるもう一つの要因は、社内登用制度です。同社では、新しい店舗の店長を社内から選出しています。従業員は「ブロイスタ」としてキャリアをスタートし、経験を積んだ後に自ら店舗を開業し経営することが可能です。この仕組みにより、ブランドへの情熱が社内に浸透し、質の高いサービスの提供につながっています。
また、従業員のモチベーション向上にも寄与しており、企業全体の競争力を高める要因となっています。顧客満足度の向上とともに、安定した経営基盤を築くことができる点も、ダッチ・ブロスの強みの一つです。
さらなる成長の可能性
ダッチ・ブロスは、今後も長期的な成長が期待される企業の一つです。現在、営業エリアは18州にとどまっていますが、今後数千店舗規模の拡大が可能です。店舗数が増えることでブランドの認知度も向上し、より多くの顧客を獲得するチャンスが広がります。
また、同社はコーヒーだけでなく、エナジードリンクやスムージーといった多様なメニューを提供しているため、消費者の嗜好の変化にも柔軟に対応できます。外食産業の中でも、特に成長ポテンシャルの高い分野であることが、ダッチ・ブロスの魅力を一層引き立てています。
今後も、積極的な出店戦略と社内登用制度を活かしながら、市場拡大を続けていくことで、長期的な投資対象として注目される企業になる可能性があります。