米国の投資会社であるバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)は、2024年第4四半期のポートフォリオ調整を実施しました。証券取引委員会(SEC)への13-F報告書によると、バンク・オブ・アメリカ(BAC)やシティグループ(C)の株式を減らし、新たにコンステレーション・ブランズ(STZ)へ投資しました。
アップル株の保有状況
バークシャーは、第3四半期を通じてアップル(AAPL)の保有株数3億株を維持しました。アップル株は同社の最大の保有銘柄であり、その価値は現在730億ドルとなっています。これは、バークシャーの第2位であるアメリカン・エキスプレス(AXP)の470億ドル、バンク・オブ・アメリカの320億ドルを上回る規模です。
ウォーレン・バフェットCEOは、2024年5月の年次株主総会で、年末時点でもアップルが同社の最大の持ち株であると述べました。昨年の9カ月間でアップル株の約3分の2を売却したことから、第4四半期も売却するのではないかと市場では憶測されていました。しかし、最終的にバークシャーはアップル株を維持する判断をしました。
バンク・オブ・アメリカ、シティグループの株式を削減
バークシャーはバンク・オブ・アメリカの株式を15%減らし、6億8000万株としました。また、シティグループの持ち株を約75%削減し、1460万株としています。バンク・オブ・アメリカの株式は、バークシャーが約10年前に1株7ドルのワラントを通じて取得した低コストの銘柄であり、依然として7億株程度を保有すると見られています。
証券アナリストのジェームス・シャナハン氏(エドワード・ジョーンズ)は、バークシャーが2024年第4四半期に合計60億ドルの株式をネット売却した可能性があると指摘しました。そのうち、バンク・オブ・アメリカが50億ドル近く、シティグループが30億ドル程度の売却に相当すると考えられています。
新規投資:コンステレーション・ブランズへの参入
バークシャーは新たに、ビールやワイン、蒸留酒を手がけるコンステレーション・ブランズに投資しました。2024年12月31日時点で、同社の株式560万株を取得し、投資額は10億ドル以上となります。このニュースを受けて、コンステレーションの株価は2月14日の時間外取引で7.4%上昇し、174.99ドルとなりました。
コンステレーションの株価は、2025年の年初から26%下落しており、バークシャーは割安なタイミングで買いに入った可能性があります。現在の株価水準では、コンステレーションの株価収益率(PER)は将来利益の11倍以下と、S&P500種株価指数の平均値の約半分で取引されています。
ドミノ・ピザ、NUホールディングス、チャーター・コミュニケーションズの保有状況
バークシャーはドミノ・ピザ(DPZ)の株式を約2倍の240万株に増やしました。一方、ブラジルの金融サービス会社ヌー・ホールディングス(NU)の持ち株は50%以上減らし、4020万株としました。さらに、チャーター・コミュニケーションズ(CHTR)の持ち株を約30%削減し、200万株としました。また、リバティ・フォーミュラ・ワン(FWONK)の保有株も11%減らし、680万株としました。
キャッシュポジションの増加
2024年の第4四半期の株式売却により、バークシャーの現金保有額は、9月30日時点の記録的な3100億ドルからさらに増加したと予想されます。同社は2024年の最初の3四半期に株式の購入を控え、大規模な売却を続けてきました。第3四半期の10-Q報告書によると、同社は58億ドルの株式を購入し、1330億ドルを売却しています。
バフェット氏は、現在の株式市場が過去最高水準で推移しているため、魅力的な投資対象を見つけることが難しくなっていると考えています。この方針は、2024年初頭から続いている傾向を反映しており、大規模なキャッシュポジションの維持を重視していることが伺えます。
今後の展望
バークシャーは、2月22日に発表予定の10-K報告書で、2024年第4四半期の決算とともに年末時点の現金残高を公表する予定です。市場関係者は、同社が引き続き慎重な投資戦略を維持するのか、あるいは新たな投資先を見つけるのかに注目しています。
今後、バークシャーの投資方針に大きな変化があるのか、それとも引き続き保守的な資産運用を続けるのかが焦点となります。バフェット氏とそのチームが、記録的なキャッシュをどのように活用していくのか、2025年の動向が注目されます。