サイバーセキュリティ企業のパロアルトネットワークス(PANW)の株価は、2月14日の米国市場で下落しました。午前10時43分現在で株価は前日比5.14%安の191.51ドルで取引されています。
パロアルトネットワークスは、1月30日に終了した2025年度第2四半期の決算を13日に発表しました。決算内容は概ね良好でしたが、市場の期待には届かず、投資家の反応は冷ややかでした。
決算内容と市場の評価
パロアルトネットワークスの第2四半期の売上は22億6,000万ドル、調整後の1株当たり利益(EPS)は81セントでした。これは、アナリスト予想の売上22億4,000万ドル、EPS78セントを上回る結果でした。しかし、市場ではさらなる成長が期待されており、その期待に沿えなかったことが株価下落の要因と考えられます。
また、同社が発表した2025年第3四半期(2月〜4月)の業績予想は、調整後のEPSが76〜77セントとされています。これも市場の予想とほぼ一致しているものの、投資家の期待を上回るものではありませんでした。
投資家の期待と株価の反応
今回の株価下落は、過剰な期待とそれに伴う失望が要因となった典型的なケースといえます。市場では、決算発表前に株価が上昇し、期待値が高まりすぎたことで、実際の決算がポジティブな内容でも、投資家の反応は鈍かったようです。
ファクトセットのデータによると、パロアルトネットワークスを担当するアナリスト55人のうち、72%が「買い」評価を維持しており、17人が決算発表後に目標株価を引き上げました。これは、長期的な成長に対する期待が依然として高いことを示しています。
目標株価と今後の見通し
シュティフェルのアナリスト、アダム・ボルグ氏は、パロアルトネットワークスを「買い」と評価し、目標株価を225ドルに設定しています。これは、現在の株価から約17%の上昇余地があることを意味します。
また、ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブス氏も、パロアルトネットワークスの株価を「アウトパフォーム」と評価し、1年後の目標株価を225ドルとしています。アイブス氏は、パロアルトネットワークスのプラットフォーム化の戦略が加速し、1,000万ドル以上の顧客数が前年同期比52%増加した点を指摘しています。
プラットフォーム化戦略と競争優位性
パロアルトネットワークスは、より幅広い製品群を一部の顧客に無料で提供する戦略を進めています。これにより、小規模なサイバーセキュリティ・プロバイダーから市場シェアを奪うことを狙っています。無料トライアルを活用することで、より多くの企業に製品を試してもらい、その後の本格導入へとつなげる考えです。
ボルグ氏は、この戦略について「パロアルトネットワークスはサイバーセキュリティ分野での市場シェアを拡大しつつある」とコメントしており、アイブス氏も「成長の種はしっかりと蒔かれている」と評価しています。
長期的な成長への期待
今回の決算は、市場の期待を大きく上回るものではなかったため、短期的には株価が調整しました。しかし、プラットフォーム化戦略の進展や、顧客基盤の拡大といった要素が、中長期的な成長の支えとなる可能性があります。
パロアルトネットワークスは、引き続きサイバーセキュリティ市場でのリーダーとしての地位を強化していくと予想されます。短期的な株価の動きに振り回されるのではなく、同社の長期的な成長戦略に注目することが重要です。