バーティブの株価急落!決算は好調なのに市場が失望した理由とは?

  • 2025年2月13日
  • 2025年2月13日
  • BS余話

バーティブ・ホールディングス(VRT)は、人工知能(AI)データセンター向けの冷却システムを製造する企業です。2024年第4四半期の決算発表後の2月12日の米国市場で同社の株価は8.32%安の113ドルと大きく下落しています(米国東部時間14:58現在)。市場予想を上回る業績を発表したものの、ガイダンスが期待を下回ったことが投資家の失望を招いたようです。

第4四半期決算は市場予想を上回る

バーティブは、第4四半期の調整後1株当たり利益を99セントと報告しました。前年同期から大幅に増加し、売上も26%増の23億5000万ドルとなりました。市場予想は売上21億6000万ドル、1株当たり利益82セントだったため、これを大きく上回る結果となりました。

しかし、決算発表後の株価の反応はポジティブではありませんでした。その要因として、第1四半期および2025年通年のガイダンスが挙げられます。

ガイダンスが市場予想を下回る

バーティブの2025年第1四半期の売上見通しは19億ドル〜19億5000万ドルで、調整後1株当たり利益は57セント〜63セントと予想されています。市場コンセンサスは売上19億2000万ドル、1株当たり利益63セントだったため、利益の見通しが期待に届かなかったことが市場のネガティブな反応を引き起こしたと考えられます。

通年の業績予測については、調整後1株当たり利益を3.50ドル〜3.60ドルと見込んでおり、これは以前のガイダンスと同じ水準です。また、売上は91億2500万ドル〜92億7500万ドルと予測され、前回のガイダンスの中間値より7500万ドル上方修正されました。既存事業の売上は16%増加する見込みです。

株価の動向と今後の見通し

バーティブの株価は、ディープシークショックで1月27日に30%下落し、それ以来16%下落しています。しかし、過去1年で株価は74%上昇しており、市場の期待は依然として高い水準にあるといえます。

J.P.モルガンのアナリストであるスティーブン・トゥサ氏は、バーティブが2025年のガイダンスを維持すると予想していました。同氏は「同社は当初の見通しを保守的にする傾向がある」と指摘し、第1四半期のガイダンスが通常最も弱いものであるため、予想を下回る可能性があると述べていました。決算発表前、トゥサ氏はバーティブの株を「オーバーウエイト」と評価し、目標株価を132ドルと設定していました。

今後の製品需要と市場の評価

投資家にとって重要なのは、バーティブの冷却システムの需要が今後も続くかどうかです。同社の製品が引き続き市場で高い需要を維持するならば、現在の株価収益倍率(PER)33.7倍は正当化される可能性があります。一方で、需要が減少する兆候が見られれば、さらなる株価の下落も考えられます。

ジョルダーノ・アルベルタッツィCEOは「バーティブの成長軌道に自信を持っており、昨年11月の投資家向けイベントで発表した5年間の財務枠組みを再確認している」と述べています。

メキシコでの生産と関税の影響

バーティブはメキシコで一部の製品を製造しているため、関税政策の影響も考慮する必要があります。関税の変動がコスト構造にどのような影響を与えるのか、今後の経営戦略に注目が集まります。

株価下落は買いのチャンスか?

2024年8月、バーティブの株価が約80.21ドルで取引されていたとき、投資情報誌バロンズは同社を高く評価していました。また、ディープシークによる市場の混乱があった後も、同誌はバーティブを買いの好機と見ていました。

株価の短期的な変動があっても、バーティブの成長戦略が続く限り、長期的な投資チャンスがあるかもしれません。そのため、投資家は株価の動きだけにとらわれず、同社の成長見通しや市場環境をしっかり分析することが重要です。

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