広告テクノロジー企業トレードデスク(TTD)の株価が、2月13日のプレマーケットで一時29%急落しました。株価は86.60ドルまで下落し、市場関係者に大きな衝撃を与えています。
第4四半期決算の概要
2月12日に発表されたトレードデスクの2024年第4四半期の決算は、以下のような結果となりました。
- 調整後の1株当たり利益:0.59ドル(予想の0.57ドルを上回る)
- 売上:7億4100万ドル(予想の7億5890万ドルを下回る)
売上が市場予想を下回ったことが投資家心理を冷やし、株価の急落を招いたと考えられます。
組織再編が影響、次世代プラットフォーム「Kokai」の採用遅れも要因に
オッペンハイマーのアナリスト、ジェイソン・ヘルフスタイン氏は、トレードデスクの格付けを「アウトパフォーム」で据え置き、目標株価を115ドルに設定しました。しかし、「売上が予想を下回ることは過去33四半期で初めてであり、その影響は大きい」と指摘しています。
アナリストによると、今回の決算の失敗は、次世代人工知能(AI)プラットフォーム「Kokai」の導入遅れや、組織の複雑化が要因とされています。トレードデスクはここ数年で約4000人の従業員を抱える規模に拡大しましたが、広告代理店と広告主の両方をターゲットとする戦略が複雑になり、適切な意思決定が行われにくくなったことが影響したと分析されています。
CEOのコメント:「長期的な成長を見据えた組織再編」
トレードデスクのジェフ・グリーンCEOは、今回の決算について次のように述べています。
「第4四半期の売上が予想を下回ったことは残念です。しかし、2024年12月にはCTV(コネクテッドTV)、リテールメディア、アイデンティティ、サプライチェーン最適化、オーディオ分野でのビジネスチャンスを加速させるために大規模な組織再編を実施しました。また、Kokaiやベンチュラ・オペレーティング・システムといった新しいイノベーションにも注力しました。」
この組織再編により、企業の方向性が明確化し、より効果的な資源配分が可能になると期待されています。
アナリストの見解、目標株価を引き下げるも「買い」評価を維持
市場関係者の間では、トレードデスクの今後の成長性に対する意見が分かれています。
- グッゲンハイム証券のアナリスト、マイケル・モリス氏は、目標株価を150ドルから110ドルに引き下げましたが、「買い」評価を維持しました。
- 同氏は「今回の組織再編は会社史上最大規模のものであり、意思決定の明確化や資源配分の最適化を通じて長期的な成長にプラスに働く可能性がある」と指摘しています。
また、シティグループのアナリスト、Ygal Arounian氏も、目標株価を140ドルから108ドルに引き下げつつ、「買い」評価を継続しました。
「割高なバリュエーションを考慮すると、市場の反応は理解できる。しかし、投資家はしばしば買いの機会を探しており、今回の下落はその一つになり得る。」
2025年第1四半期の売上予想
トレードデスクは、2025年第1四半期の売上を少なくとも5億7500万ドルと予想しています。これは、アナリスト予想の5億8210万ドルを下回る数字です。市場がこの業績見通しをどう受け止めるかが、今後の株価動向に大きな影響を与えそうです。
今後の投資判断
トレードデスクの株価は大幅に下落しましたが、アナリストの評価は依然として「買い」が多く、長期的な成長の可能性を見据えた投資家には魅力的なエントリーポイントとなるかもしれません。ただし、短期的には組織再編の影響やKokaiの導入遅れなど、不確定要素が多いため、慎重な判断が求められます。
今後の決算発表や経営陣の戦略次第では、株価の回復も期待されるため、引き続き注視していくことが重要です。
*過去記事はこちら トレードデスク TTD