パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価が急上昇しており、ウォール街の注目を集めています。同社は2025年に入ってからも堅調な業績を維持しており、特に人工知能(AI)関連の需要増加が商業部門のビジネス拡大を後押ししています。
CEOのアレックス・カープ氏は、最新の決算説明会で強気な見通しを示しました。その結果、パランティアは投資家の間でカルト的な人気を獲得しつつあります。資産運用会社プロキオン・パートナーズのシニア・バイス・プレジデントであるジェリー・スニード氏は、カープ氏をエヌビディアのCEO、ジェンスン・フアン氏と比較し、両者を「天才」と評しています。
しかし、パランティアの株価はすでに過去最高水準に近づいており、今後も上昇し続けるのか疑問視する声もあります。現在の株価は、今期の業績予想の200倍以上という高い水準で取引されています。
アナリストの評価は慎重な姿勢
ウォール街のアナリストの間では、パランティアに対する評価が分かれています。ファクトセットによると、パランティアをカバーしている24人のセルサイドアナリストのうち、買い推奨をしているのはわずか6人です。目標株価のコンセンサスは88.38ドルで、116.65ドルをつけた2月10日現在の株価より24%低い水準となっています。
一方で、テクニカル分析の観点からは依然として魅力的に見える部分もあります。株価は短期移動平均線を上回り、長期移動平均線も余裕を持って上回っています。しかし、今後の値動きには注意が必要です。
テクニカルアナリストであるFairlead Strategiesの創設者、ケイティ・ストックトン氏は、短期的にはポジティブなモメンタムが続くとしながらも、今後数週間のうちに一時的な調整が発生する可能性があると指摘しています。これは、長期的な上昇トレンドを崩さない範囲で起こる可能性があるとのことです。
空売り筋の動向
パランティアの株価は短期間で大幅に上昇したため、空売り筋の動きにも注目が集まっています。通常、急騰した銘柄は空売りの対象になりやすいですが、パランティアに関しては意外にも空売りの比率が低めです。
S3パートナーズによると、パランティアの空売り比率は入手可能な株式の4%強にとどまっています。これは一般的な銘柄の平均的な空売り比率である2%より高いものの、典型的な空売り対象となる銘柄(空売り比率20%以上)と比較すると低い水準です。
S3パートナーズのレポートでは、「パランティアの業績が好調なため、ショートポジションは記録的な損失を出している」と指摘されています。これは、空売り投資家が損失を避けるためにポジションを手仕舞いし、結果的にさらなる買い戻しが発生して株価が上昇するという流れを生んでいる可能性があります。先週の決算発表後、株価が20%以上も急騰したのは、このようなショートカバーによる影響もあると考えられます。
バリュー投資家には向かないが、成長を信じるなら魅力的
パランティアの株価は過去1年で350%以上も急騰しています。そのため、バリュー投資家にとっては割安とは言い難いですが、今後の成長性を信じる投資家にとっては魅力的な銘柄といえます。
同社は過去数四半期にわたってアナリストの業績予想を上回る決算を発表しており、その結果、アナリストも業績予想を引き上げ続けています。これは、パランティアの適正なバリュエーションを判断することをより難しくしている要因の一つです。
プロキオン・パートナーズのスニード氏は、「パランティアのバリュエーションを正しく理解するのは困難だが、投資家はこの銘柄を持ち続けることで損をすることはない」と述べています。つまり、売るべきタイミングを見極めるのが難しいということです。
利益確定のタイミングも重要
一方で、アルファ・キューブド・インベストメンツのCEO、トッド・ウォルシュ氏は、パランティアの急騰を1999年のクアルコム(QCOM)のケースと比較しています。クアルコムは1999年にピークを迎えたあと低迷、その後20年以上かけてようやく当時の水準に戻りました。
ウォルシュ氏は、「パランティアがこのまま上昇し続ける可能性もあるが、ある程度の利益を確定しておくのが賢明だ」と指摘しています。これは、急騰した銘柄が必ずしもその勢いを維持できるとは限らないため、定期的に利益を確定しながらリスク管理をするべきという考え方です。
「ある銘柄がパランティアのような現象になったら、自分を褒めてあげるべきだ。運が味方している間に、一部の利益を確定させることが重要だ」と述べています。
まとめ
パランティア・テクノロジーズの株価は、AIブームの追い風を受けて2025年も引き続き注目されています。業績は好調で、アナリストの予想を上回る決算を続けていますが、株価はすでに高い水準にあり、短期的な調整の可能性も指摘されています。
空売り比率は低く、ショートスクイーズの影響でさらなる上昇の可能性もありますが、一方で利益確定のタイミングを見極めることも重要です。今後の株価動向を見極めつつ、適切なポートフォリオ戦略を立てることが求められます。
成長を信じるなら引き続き保有する選択肢もありますが、リスク管理の観点からは一部の利益を確定することも検討すべき段階に来ています。
*過去記事はこちら パランティア PLTR