エヌビディア株が上昇!TSMCの売上増加とAI投資が後押し

エヌビディア(NVDA)の株価が2月10日の米国市場で大きく上昇しました。これは、主要なチップサプライヤーであるTSMC(TSM)の売上が急増したことが影響したと考えられます。

エヌビディアの10日の終値は133.57ドルで、2.87%の上昇を記録しました。先日、中国企業ディープシークが低価格のAIモデルを発表したことを受け、一時116ドル付近まで下落していましたが、その後反発しました。さらに、欧米のハイテク企業による大規模な投資も、この反発を後押ししたと見られます。

大手ハイテク企業が設備投資を加速

アマゾン・ドット・コム(AMZN)、アルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)、メタ・プラットフォームズ(META)は、最新の決算発表において、総額3,250億ドルにも及ぶ設備投資計画を発表しました。これらの企業は、AI関連のインフラ強化に多額の資金を投じており、エヌビディアの需要増加に貢献しています。

さらに、AI分野の成長は欧米以外にも広がっています。クラウド企業FluidStackが主導するフランスのプロジェクトでは、原子力発電を活用したAIコンピューティングセンターの建設が計画されています。第一段階では約12万個のエヌビディア製AIチップを収容する予定であり、2028年までには50万個以上のチップを導入する計画です。こうした取り組みも、エヌビディアの市場価値向上に寄与していると考えられます。

決算発表は2月26日

エヌビディアは、2月26日に決算を発表する予定です。市場では、AI関連の需要が引き続き強いことから、好調な業績が予想されています。特に、データセンター向けのAIチップの販売動向が注目されており、決算発表後の株価の動きにも影響を与える可能性があります。

TSMCの売上増加とAI需要の影響

10日の米国市場におけるTSMCの株価は0.89%の上昇となりましたが、同社の1月の売上は前年同月比36%増の約2,932.9億台湾ドル(約89.3億ドル)と大幅な成長を記録しました。しかし、1月21日に台湾を襲った地震の影響により、第1四半期の売上はガイダンス範囲の下限である250億ドルから258億ドルに近づく見込みであると発表しています。

TSMCは、「地震と余震の影響で、一部のウェハーが損傷し、廃棄せざるを得なかった」と述べています。ただし、同社は生産量の回復に全力を尽くしており、通期の売上見通しには変更はないと強調しました。

*関連記事「TSMC:2025年第1四半期の売上は予想レンジ下限に

AIチップの供給不足とTSMCの対応

エヌビディアとTSMCは、AIチップの需要に応えられるよう対応を進めています。TSMCの経営陣は、2025年末までに、CoWoS(チップパッケージ技術)の生産能力を2倍以上に拡大する計画を発表しました。CoWoSは、エヌビディアの高性能AIチップを製造するために不可欠な技術であり、その生産能力の向上は、AI市場のさらなる成長を後押しする可能性があります。

オープンAIが自社製チップを開発

ロイター通信の報道によると、ChatGPTを開発するオープンAIは、初の自社製チップの設計を完了間近であり、今後数カ月以内にTSMCに製造を依頼する予定です。これにより、オープンAIは今年後半にも、エヌビディア製チップの代替品となる自社チップをテストできる可能性があります。

ただし、どのようなカスタムチップであっても、短期的にはエヌビディアの市場支配に大きな影響を与えることはないと見られます。AI向けのハードウェアは、単にチップの性能だけでなく、ソフトウェアやエコシステム全体の最適化が求められるためです。

まとめ

エヌビディアの株価は、TSMCの売上増加や欧米のハイテク企業によるAI投資拡大を背景に上昇しています。AI市場の成長が続く中、エヌビディアの業績も引き続き好調が見込まれます。一方、オープンAIの自社製チップ開発や、TSMCの生産能力拡大など、競争環境にも変化が見られます。

2月26日の決算発表では、エヌビディアのAIチップ事業の動向が特に注目されます。今後のAI市場の成長とともに、エヌビディアがどのように市場をリードしていくのか、引き続き注目が集まりそうです。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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