米国のテクノロジー大手アルファベット（GOOGL）が2025年1月の決算発表を行いました。第4四半期の売上は964億7000万ドル、1株当たり利益は2.15ドルとなり、利益面ではアナリストの予想を上回ったもの、売上は下回る結果となりました。ファクトセットの調査によると、市場予想は売上966億8000万ドル、1株当たり利益2.13ドルとされていました。
前年同期の売上は863億ドル、1株当たり利益は1.64ドルであったことを考慮すると、同社の成長が続いていることが分かります。しかし、一部の事業セグメントでは市場の期待を下回る結果となりました。
クラウド事業の成長もアナリスト予想には届かず
アルファベットのクラウド事業は引き続き成長を続けており、第4四半期の売上は120億ドルとなりました。これは前年同期比で30％の増加を記録しましたが、市場予想の122億ドルにはわずかに届きませんでした。
クラウド市場では、同業のマイクロソフト（MSFT）のクラウドサービス「アジュール」も注目されています。マイクロソフトは、同社のクラウド部門の売上成長率が前四半期の33%増から31%増に減速したことを発表しました。クラウド市場全体で競争が激化している状況が浮き彫りになっています。
YouTube広告収入が好調
アルファベットにとって明るい材料の一つとなったのがYouTubeの広告収入です。同部門の売上は104億7000万ドルとなり、市場予想の102億3000万ドルを上回りました。同業のメタ・プラットフォームズ（META）も同四半期において予想を上回る広告収入を発表しており、デジタル広告市場の回復がうかがえます。
AI投資が加速、設備投資は市場予想を上回る
アルファベットは、生成AIへの投資を継続的に増やしています。2025年の設備投資額は約750億ドルに達する見込みであり、これは同社の成長戦略の重要な柱となっています。
2024年第4四半期の資本支出は142億8000万ドルとなり、市場予想の132億6000万ドルを上回りました。前年同期の110億ドルからの増加幅は大きく、同社のAI分野への積極的な投資姿勢が見て取れます。スンダル・ピチャイ最高経営責任者（CEO）は決算発表の中で、「今後の成長機会に自信を持っており、AI技術の進歩を加速させるために投資を拡大する」と述べています。
この発表を受け、同社の主要な半導体パートナーであるブロードコム（AVGO）の株価は一時6％以上上昇しました。
時間外取引で株価8%下落
決算発表を受け、アルファベットの株価は時間外取引で8%下落しました。売上の未達や、AI投資に対する市場の懸念が影響した可能性があります。特に、生成AI分野ではディープシークという中国の新興企業が、オープンAIのChatGPTと競争可能なAIモデルを開発したと報じられています。これにより、AI開発のコスト削減が進むのではないかとの憶測が広がり、大手テクノロジー企業の高額なAI投資の必要性に疑問が投げかけられています。
Googleの競争力と今後の課題
投資家は、アルファベットの今後のAI投資の方針や、競争環境についての最新情報を求めています。Googleは長年にわたり検索エンジン市場でトップの地位を維持してきましたが、AIを搭載したチャットボットがこの市場シェアを脅かしつつあります。
現在、ChatGPT、Meta AI、DeepSeekなどのAIチャットモデルが、GoogleのGeminiと直接競争しています。Googleは2024年12月に「Gemini 2.0 Flash」を発表し、前モデルよりも応答速度を向上させましたが、競争環境は依然として厳しく、今後の成長戦略が注目されています。
司法省の反トラスト訴訟の行方
また、アルファベットにとってもう一つの大きな課題は反トラスト法違反訴訟です。2024年8月、米国司法省はGoogleが検索サービスおよびテキスト広告市場で独占的な地位を維持しているとの判決を下しました。司法省は救済策の一環としてGoogleの分割を示唆しており、この問題が今後どのように展開するのかも市場の注目を集めています。
まとめ
アルファベットの最新決算は、利益面では市場予想を上回ったものの、売上はわずかに未達となりました。YouTube広告事業が好調である一方、クラウド部門の成長率やAI投資の増大が市場の懸念材料となっています。また、検索市場での競争激化や司法省の反トラスト訴訟の行方も、投資家が注目するポイントとなっています。
2025年の設備投資は大幅に増加する見通しであり、アルファベットの成長戦略が成功するかどうかが今後の株価の動向を左右することになりそうです。
＊過去記事 アルファベット GOOGL