ドローン防衛企業ヒドゥン・レベルが1億ドルの資金調達に成功

アメリカの防衛技術分野で注目されているスターアップ企業のヒドゥン・レベル(Hidden Level)が、ロッキード・マーチン・ベンチャーズやDFJグロースなどの投資家から支援を受け、ここ数ヶ月の間に約1億ドルの資金を調達しました。関係者によると、同社の評価額は約5億ドルに達しているといいます。

ヒドゥン・レベルは、パッシブ・レーダー・システムを活用し、ドローンやその他の空中物体を探知・追跡する技術を提供する企業です。近年、戦場だけでなく国内の安全保障においてもドローンの重要性が高まる中、同社の技術はますます注目を集めています。

ドローンの脅威とヒドゥン・レベルの技術

ウクライナやアメリカ国内(ニュージャージーなど)では、ドローンの活用が急速に進んでいます。その一方で、犯罪やテロ目的でのドローンの使用も増加しています。2024年11月には、テネシー州で男がドローンを使い変電所を攻撃しようとしましたが、未遂に終わりました。

ヒドゥン・レベルのジェフ・コール最高経営責任者(CEO)は、この事件を例に挙げ、「このような小型ドローンがどのような影響を及ぼすのかを考えると、驚かされる」と述べています。また、従来は海が国防の障壁となっていたアメリカも、現在ではドローン技術によって脆弱になりつつあると指摘しました。

米国政府との関係強化と成長戦略

ヒドゥン・レベルは2018年に設立され、ニューヨーク州シラキュースを拠点としています。特にアメリカ国防総省がスタートアップ企業の技術導入を積極的に進める中、政府機関が同社の主要顧客となることを目指しています。

同社は2024年にアメリカ陸軍との10年契約を獲得しましたが、プロジェクトの詳細については明らかにしていません。DFJグロースのランディ・グレイン氏は、同社の取締役会に加わることを決定し、「この段階では、確信を持って投資できる」とコメントしました。グレイン氏は10年以上前にスペースXへの投資を主導した人物であり、政府と緊密に連携する企業同士の類似点を指摘しています。

ヒドゥン・レベルの技術と市場展開

ヒドゥン・レベルの主力技術であるパッシブ・レーダー・システムは、新しい概念ではありませんが、同社はそれを進化させ、戦場での運用に耐えうる堅牢なハードウェアユニットを開発しています。また、顧客が空域の脅威を分析するためのソフトウェア・サービスやツールの提供も行っています。

2024年の売上は500万ドルでしたが、2025年には2,500万ドルに増加すると見込まれています。売上の大部分は、アメリカ陸軍や空軍、警察などの政府機関からのものであり、商業向けの売上は約20%を占めています。

今後の成長戦略と投資の活用

ヒドゥン・レベルは、今後18ヶ月以内に最新のハードウェア製造を強化し、従業員数を100人から160人へ拡大する計画を立てています。ジェフ・コールCEOは、「この資金調達は、スケールアップのために不可欠なものです」と述べており、事業の拡大を加速させる方針です。

現在、ドローン技術とそれに対抗する防衛システムへの関心が急速に高まっており、ヒドゥン・レベルの今後の成長が期待されています。米国政府との関係強化を軸に、さらなる市場拡大を目指していきます。

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