AI業界は日々進化しており、2025年に入ってからもその流れは加速しています。そんな中、投資情報メディアであるモトリーフールが、エヌビディア（NVDA）をはじめとするAI関連株に大きな影響を与えたディープシークについて詳しく報じました。本記事では、モトリーフールの記事を紹介しつつ、AI業界における最新の動向と今後の展望について解説します。
ディープシークの登場とAI関連株への影響
モトリーフールの記事によると、中国発のAIチャットボット「ディープシーク」の登場が、エヌビディアをはじめとするAI関連株に大きな影響を与えました。特に、1月27日（月）の市場では、エヌビディアの株価が17％下落し、時価総額6000億ドルが一日で消失したとのことです。これは、市場史上最大の単日下落額であり、投資家にとっても衝撃的な出来事となりました。
しかし、その後エヌビディアの株価は一部回復しており、市場は過度に反応した可能性も指摘されています。モトリーフールは、このような一時的な急落に対して冷静に対応することの重要性を強調しています。
ディープシークとは？その強みと課題
モトリーフールの記事によると、ディープシークは2023年5月に設立された中国のAIスタートアップであり、オープンソースの大規模言語モデルを使用していることが特徴です。これにより、開発者が独自にモデルを改良し、各自のニーズに適応させることが可能になります。
さらに、ディープシークの「R1モデル」は、オープンAIの「o1モデル」と同等の性能を持ちつつ、より低コストで運用可能である点が注目されています。具体的には、オープンAIのo1モデルでは100万トークンの出力に60ドルかかるのに対し、ディープシークのR1モデルではわずか2.19ドルで同じ量の出力が可能とされています。
しかし、モトリーフールはディープシークの技術に関する懸念点も指摘しています。特に、オープンAIがディープシークのモデルが「蒸留」と呼ばれる手法を用いて開発されたと非難している点は注目に値します。もしこれが事実であれば、ディープシークの信用性が損なわれ、技術的優位性が疑問視される可能性があります。
また、ディープシークのAIモデルの開発コストについても議論があります。同社はV3モデルのトレーニングに560万ドルしかかからなかったと主張していますが、この数字には研究開発費やデータ取得コストが含まれていないため、アメリカのAI企業が投じる数十億ドル規模の投資とは直接比較が難しいとされています。
エヌビディアへの影響は？
モトリーフールは、ディープシークの登場がエヌビディアやAI業界全体にどのような影響を与えるのかはまだ不透明であると指摘しています。確かに、ディープシークは効率性の向上を実現している可能性がありますが、技術の一部がオープンAIの技術に依存しているとすれば、その進歩は限定的なものかもしれません。
また、シリコンバレーの著名投資家であるマーク・アンドリーセン氏は、ディープシークの発表を「スプートニクの瞬間」と表現しました。これは、冷戦時代にソ連が世界初の人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げた出来事になぞらえたものであり、技術だけでなく地政学的な影響も無視できないことを示唆しています。
米国政府は、中国との技術競争を激化させ、さらなる輸出規制の強化を進める可能性があります。例えば、TikTokを禁止する一方で、ディープシークの使用を許可することは矛盾していると指摘されるかもしれません。また、米国企業や政府機関が中国企業にデータを提供することに対して慎重になる可能性もあります。
エヌビディアの未来は明るい？モトリーフールの見解
モトリーフールの記事では、エヌビディアの未来について楽観的な見方も示されています。短期的にはディープシークの登場が影響を与える可能性がありますが、長期的にはエヌビディアにとってプラスに働く可能性もあるというのです。
その根拠の一つとして、「ジェボンズのパラドックス」が挙げられています。AIの運用コストが下がると、AIの利用が拡大し、結果的にエヌビディアのAIチップの販売量が増加する可能性があるという理論です。つまり、短期的には価格の下落があっても、長期的には市場全体の成長がエヌビディアの売上を押し上げる可能性があると考えられます。
さらに、ディープシーク自体がエヌビディアのチップを基盤として構築されているという点も重要です。これにより、エヌビディアの技術的優位性が維持される可能性が高いとモトリーフールは分析しています。
まとめ：エヌビディアの未来にどう向き合うべきか？
モトリーフールの記事では、ディープシークの登場による影響を冷静に分析しつつ、エヌビディアの長期的な成長の可能性にも言及しています。短期的な株価の急落に動揺するのではなく、AI業界全体の成長トレンドを見据えて投資判断を行うことが重要であると強調されています。
エヌビディアは、過去にもビデオゲーム向けの技術提供から暗号通貨マイニング、AI、自動運転車、3Dレンダリングなどへと事業を進化させてきた実績があります。CEOのジェンセン・フアン氏も、業界をリードするビジョナリーとして高く評価されています。
今後もAI業界は進化を続けると考えられますが、その中でエヌビディアがどのように適応し、成長を遂げるのかに注目が集まっています。モトリーフールの分析を参考にしながら、長期的な視点を持って投資戦略を考えていくことが重要ではないでしょうか。
＊過去記事はこちら エヌビディアNVDA