エヌビディア株の反発なるか?空売り規制と中国AI企業の台頭を読む

エヌビディア(NVDA)は1月27日に株価が大幅に下落しましたが、このことで空売りに対する規制が強化されました。また、株式の借入コストの上昇も見込まれています。このような状況下で、空売り筋や投資家がどのように動いているのかが注目されています。

空売り規制の背景とその影響

エヌビディア株は、同じ半導体企業であるブロードコム(AVGO)とともに、28日朝にインタラクティブ・ブローカーズのプラットフォームで空売り規制の対象となりました。この規制は、株価が直前の終値から10%以上下落した際に発動される仕組みです。これは、いわゆる「サーキットブレーカー」として機能し、空売りトレーダーが過剰に株を売り込むのを防ぐ役割を果たします。

28日には、エヌビディアの株価が6%以上反発しました。インタラクティブ・ブローカーズのチーフ・ストラテジストであるスティーブ・ソスニック氏によれば、このアップティック・ルールは28日いっぱいまで適用される見通しです。もしさらなる10%以上の下落がなければ、空売り筋は29日以降再び取引を行うことが可能となります。

エヌビディアの空売り動向と投資家の利益

エヌビディア株に対する空売りは、短期的には利益を生む取引となる場合があります。27日の17%の株価下落により、空売り筋は合計で65億6000万ドルの利益を上げました。このような動きは、レバレッジ型上場投資信託(ETF)を通じて投資する投資家にも恩恵をもたらしました。例えば、「Tradr 1.5倍ショートNVDAデイリーETF」や「GraniteShares 2倍ショートNVDAデイリーETF」は、それぞれ25%と34%の急騰を記録しました。

一方で、エヌビディアの株価が上昇に転じると、空売り筋は大きなリスクに直面します。株価が売却時よりも高くなると、損失が発生するからです。

AI市場の動向とエヌビディアの地位

エヌビディアは、AIチップの需要が急増していることから、ここ数年間で市場で大きな存在感を示しています。2024年には株価が170%以上上昇しました。しかし、S3パートナーズによると、エヌビディアの空売り筋は2024年に累計で242億4000万ドルを失い、その損失額は81.3%に達しました。

2025年初頭の時点で、エヌビディアの空売りは総浮動株の1.2%程度と比較的少なく、市場がエヌビディア株を強く支持していることが示されています。

中国企業の台頭と市場への影響

中国のAI技術企業、特にディープシークなどの新興企業が安価なAI技術を提供し始めており、これがエヌビディアに対する市場の評価に影響を及ぼす可能性があります。これらの動きは、AI技術が急速に一般化するリスクを示唆しています。

RavenPackのCEO、アルマンド・ゴンザレス氏は、エヌビディアの株価下落について「大規模言語モデルの価値についての警鐘」と述べています。AI技術がコモディティ化するリスクが高まる中で、エヌビディアのようなリーダー企業も慎重な対応を求められています。

今後の展望

エヌビディアは依然としてAI市場のリーダーであり、その地位は簡単に揺るがないと見られています。しかし、空売り筋や新興企業の台頭、そしてAI市場の競争激化を受け、投資家は市場動向に細心の注意を払う必要があります。

*過去記事「エヌビディア、過去最大の時価総額損失!中国AIモデルの脅威とは

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