2025年1月21日、テクノロジー業界のリーダーたちがホワイトハウスに集まり、アメリカに新たなAIデータセンターを建設するための大規模な合弁事業「スターゲート」プロジェクトを発表しました。このプロジェクトでは、初年度に1000億ドル、4年間で5000億ドルの投資が見込まれています。しかし、その資金調達の詳細は未だ明らかになっていません。
プロジェクトの主要な関係者と役割
このプロジェクトでは、ソフトバンクの孫正義氏が資金調達を担当し、OpenAIのサム・アルトマン氏がAIに関する専門知識を提供、オラクル(ORCL)のラリー・エリソンCEOが構築を監督します。また、アラブ首長国連邦(UAE)のAI投資会社MGXが資金調達パートナーとなり、マイクロソフト(MSFT)、エヌビディア(NVDA)、ソフトバンク傘下のアーム(ARM)などがテクノロジーパートナーとして参加しています。
資金調達に関する疑問
スターゲート・プロジェクトの最も注目される課題は、その資金がどこから調達されるのかという点です。各企業の財務状況を見てみましょう。
ソフトバンクの状況
ソフトバンクは、現金および短期投資として約380億ドルを保有し、長期債務は800億ドルに達しています。同社は過去にベンチャーキャピタルファンド「ビジョン・ファンド」で1000億ドルを調達しましたが、その後の「ビジョン・ファンド2」では苦戦を強いられました。また、ソフトバンクはアームへの出資額が1400億ドルを超えており、スターゲートへの資金調達の一環としてアーム株式を売却する可能性もあります。
オラクルの状況
オラクルは800億ドルの負債を抱えており、手元資金は約110億ドルです。この規模のプロジェクトを支えるには難しい状況と言えます。
OpenAIの状況
OpenAIはまだスタートアップ段階にあり、資金調達に依存しています。2024年10月には66億ドルの資金調達を行いましたが、それだけではスターゲートの要求額に届きません。
MGXとその背後の支援
MGXは財務負担の多くを肩代わりする可能性があります。同社はアラブ首長国連邦の政府系ファンドであるムバダラから資金を得ており、ムバダラの運用資産は約3000億ドルです。ただし、5000億ドル規模のプロジェクトを担うにはかなりの負担になると予想されます。
プロジェクトに対する懐疑的な声
イーロン・マスク氏は、「スターゲートには実際に資金がない」とX(旧Twitter)でコメントしました。一方で、OpenAIのサム・アルトマン氏はこれに反論し、「このプロジェクトはアメリカにとって大きな利益をもたらす」と述べています。
また、アームのCEOであるレネ・ハース氏は、「金融面での支援がなければ、これほどのメンバーが揃って発表することはなかった」とコメントしています。
マイクロソフトとOpenAIの関係の変化
スターゲートの発表により、マイクロソフトとOpenAIの関係にも変化が見られます。OpenAIの新たなクラウドビジネスにおいて、マイクロソフトのAzureクラウドプラットフォームは独占権を失いましたが、優先交渉権は維持されています。この変化は、テクノロジー業界全体に影響を及ぼす可能性があります。
まとめ:スターゲートは実現可能か?
「スターゲート」プロジェクトは、AIの未来に向けた非常に大胆な取り組みですが、その実現可能性については多くの疑問が残っています。5000億ドルという巨額の資金調達は、参加企業や投資家にとって大きな負担となることが予想されます。今後の資金調達の詳細や進捗状況に注目が集まっています。