AIエージェント時代到来!Google検索の覇権は終わるのか?

アルファベット(GOOGL)は、現在市場で注目を集める銘柄の一つです。その理由の一つとして、Google検索が人工知能(AI)によりシェアを失うという懸念が挙げられます。実際、Perplexity(パープレキシティ)のようなAI検索エンジンの登場が、この動きを象徴しているとする意見もあります。

その一方で、Google検索が短期的に市場シェアを失う可能性は低いという分析もあります。現に過去3ヶ月でアルファベットの株価は20%の上昇を見せており、2.25%上昇したS&P 500を上回るパフォーマンスを見せています。

しかし、Googleにとっての課題は、検索市場でのシェア低下よりも、検索そのものがAIによる「自動化されたパーソナルアシスタント」に組み込まれることで発生する可能性があると考えられます。

AIアシスタントがもたらす変化

多くの専門家、例えばエヌビディア(NVDA)のCEOであるジェンスン・フアン氏は、2025年を「AIエージェント」の年になると予想しています。これらのエージェントは、単一のプロンプトでタスクの連続処理を自動化する技術で、PCやスマートフォンで人々の代わりに様々な情報を収集・処理することが期待されています。

この技術が普及すると、人々はGoogle検索を利用して複数の検索結果を確認する代わりに、AIエージェントに調査や購入商品の最安値検索を依頼する可能性があります。この場合、Google検索はエージェントの一部のプロセスとして使用されるかもしれませんが、広告クリックは行われなくなる可能性があります。さらに、AIアシスタントサービスが独自の広告をレポート内に挿入することで、Googleの広告モデルが損なわれる可能性も考えられます。

Googleの対策と歴史的類似点

Googleはこうした脅威を認識しており、複数の戦略で対応を進めています。例えば、検索結果にAIサマリーを導入する取り組みや、独自のAI言語モデルである「Gemini」、カスタムAIデータセンターハードウェア「TPU」などが挙げられます。また、これらのエージェントがGoogleから開発される可能性もありますが、新しい競争環境では、従来の検索市場での優位性がそのまま成功を保証するわけではありません。

この状況は、1990年代から2000年代初頭のマイクロソフト(MSFT)と類似しています。当時、マイクロソフトはコンピュータのオペレーティングシステム市場で独占的な地位を築いていました。しかし、その後、スマートフォンやタブレットが登場し、「コンピュータ」の定義が拡大すると、アンドロイドやアップル(AAPL)製品に市場シェアを奪われました。

興味深いことに、マイクロソフトは早い段階からモバイル市場の重要性を認識していました。1996年には初のモバイルOS「Windows CE」をリリースしましたが、結果的に十分なシェアを獲得することはできませんでした。

Googleもまた、大規模な研究開発費と強力なブランド認知を武器にAIへの投資を続けています。同社のAI研究チーム「Google Brain」は2011年に発足し、2014年にはAI研究のトップ企業であるDeepMindを買収しています。

広告モデルの課題とAIの影響

自動化の進展はGoogleだけでなく、他の多くの企業にも影響を及ぼします。AIアシスタントが検索結果を直接提供することで、ウェブサイトへのアクセスが減少し、広告収入が減る可能性があります。この傾向は、ソーシャルメディアサイトにも波及し、例えばメタ・プラットフォームズ(META)のFacebookにおいても、人間のエンゲージメントが減少する可能性があります。

さらに、AIモデルのトレーニングには人間が作成したコンテンツが必要ですが、広告収入の減少は、コンテンツ作成者の減少を招き、新たなAIモデルのトレーニングが困難になるリスクもあります。

まとめ

AIの進化は、インターネットの構造を根本的に変える可能性があります。Googleをはじめとする既存の主要プレイヤーが生き残るためには、今後も柔軟かつ迅速な対応が求められます。未来のインターネットでは、従来の広告モデルや検索市場を超えた新しい競争が展開されることが予想されます。

*過去記事 アルファベット GOOGL

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