アップスタート・ホールディングス(UPST)の株価は過去1年で、S&P500種株価指数を上回る93%の上昇を見せました。この成長はさらに続く可能性があると期待されています。しかし、この銘柄にはリスクも存在します。投資においては長期的な視点が重要であり、アップスタートが今後どのような進化を遂げるのかを考慮する必要があります。本記事では、現在の株価で同社株を購入する価値について詳しく見ていきます。
金利の影響が鍵を握る
過去数年間の業績から明らかになったことは、アップスタートの事業が金利に大きく依存しているという点です。同社はAIを活用した信用評価プラットフォームを展開しており、金利の変動に敏感に反応します。
アップスタートは2020年12月に株式公開を行い、歴史的な低金利の中で業績を拡大させました。しかし、金利が上昇するとともに売上は急減し、特に2022年以降は厳しい状況が続いています。現在でも売上は低迷していますが、損益状況は徐々に改善しています。
以下は2023年から2024年第3四半期までの売上成長率と純利益の推移です。
四半期 | 売上成長率(前年比) | 当期純利益(百万ドル) |
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2023年第1四半期 | (67%) | ($129) |
2023年第2四半期 | 40% | ($28) |
2023年第3四半期 | (14%) | ($40) |
2023年第4四半期 | (4%) | ($42) |
2024年第1四半期 | 24% | ($65) |
2024年第2四半期 | (6%) | ($55) |
2024年第3四半期 | 20% | ($7) |
アップスタートの業績は、金融政策や経済状況によって大きく左右されます。特に金利が業界全体の貸出需要に与える影響が大きい中で、同社がどのように対応するかが今後の鍵となります。
新製品と成長の機会
アップスタートは、クレジット会社やカーディーラーなどとの新たなパートナーシップを積極的に構築しています。すでに100社以上のクレジット・パートナーがおり、新規契約の増加とともにビジネスも拡大しています。また、AIモデルの学習データが増加することで、信用評価の精度が向上し、経済状況に左右されにくい製品開発が可能となる見込みです。
さらに、同社は新商品の開発にも注力しています。2024年には初の住宅ローン商品であるホーム・エクイティ・ライン・オブ・クレジット(HELOC)を34州およびワシントンD.C.で展開しました。この商品は今後、さらに多くの地域に拡大する予定です。また、クレジットカードやその他の融資分野にも事業を拡大する計画を進めています。
これらの取り組みは、事業の多様化と金利リスクの軽減につながり、長期的な成長に寄与する可能性があります。
アップスタート株の評価
アップスタートの株価は現在、1年先の売上高の約10倍で取引されています。同社はまだ利益やキャッシュフローがプラスではないため、バリュエーションには主観的な要素が含まれます。ただし、売上が回復し、業績が改善する場合には、現状の評価は妥当と考えられるかもしれません。
アナリスト予想によると、2024年の売上高は約5億9900万ドル、2025年には約8億2200万ドルとされています。また、2024年には1株当たり0.47ドルの損失が見込まれていますが、2025年には0.57ドルの利益に転じると予想されています。
まとめ
アップスタート・ホールディングスは非常に不安定な銘柄であり、良いニュースがあれば株価が急騰し、悪いニュースがあれば急落する可能性があります。同社株は、S&P500種株価指数を上回るリターンを提供する潜在力がありますが、リスクを許容できる投資家に向いています。
長期的な視点で事業の多様化や成長の可能性を評価しつつ、リスクとリターンのバランスを考えることが重要です。金利や経済状況の影響を注視しながら、投資戦略を立てていくことが重要です。
*過去記事はこちら アップスタート UPST