AIとデジタル戦略で業績アップ!石油サービス大手SLBの成長シナリオを読み解く

  • 2025年1月19日
  • 2025年1月19日
  • BS余話

石油サービス業界を代表するSLB(旧シュルンベルジェ)は、第4四半期の好調な業績を受け、株価が1月17日に6%上昇しました。この成長は国際事業の強さに支えられ、特にデジタル・インテグレーション部門の活躍が大きく貢献しました。同部門の売上は前年比10%増加し、デジタル部門全体では売上が20%増の24億4,000万ドルに達しました。

同社のオリビエ・ル・プーチ最高経営責任者(CEO)は、AIと自律的オペレーションの活用が業績向上の鍵となっていると説明しています。「AIは私たちの業界にとって革新の要因であり、SLBはこの分野でリーダーシップを維持し続けることで、顧客や株主に価値を提供し続けます」と述べています。

業績の詳細と地域別の成長

ヒューストンに本社を置くSLBの第4四半期の1株当たり利益は前年同期と同じ77セントを記録。一時的項目を調整した後の1株当たり利益は92セントで、市場予想の90セントを上回りました。

売上は前年同期の91億5,800万ドルから92億8,400万ドルに増加。この成長を牽引したのは中東・アジアと欧州・アフリカ地域の国際事業であり、特にアーカー社の海底事業の買収による影響で売上が12%増加しました。

デジタル&インテグレーション部門はデジタル製品やソリューションの需要増加により売上を伸ばしました。一方、プロダクション・システム部門は顧客の既存資産からの回収を最大化する投資継続に支えられ、堅調な受注残高から利益を得ました。

石油市場の見通しと業界の動向

ル・プーチCEOは、石油の供給過剰は2025年までに緩和されるとの見通しを示しました。「短期的には上流投資の伸びが限定的ではあるものの、石油供給の不均衡は徐々に改善されると考えています」と述べています。

また、世界的な経済成長やエネルギー安全保障への関心の高まりに加え、AIやデータセンターによるエネルギー需要の増加が、今後の石油・ガス業界の投資見通しを支えると予測しています。

OPECは2025年まで価格安定を重視し、米国の事業者も資本規律を維持することで、供給の急増を抑える姿勢を見せています。

デジタル部門の成長と配当の引き上げ

SLBのデジタル部門は、2025年通期で10%台後半の売上増加を見込んでいます。同社の中核事業であるプロダクションシステムや性能関連事業も堅調で、石油建設分野の落ち込みを他地域の成長で相殺し、売上を前年並みに維持する見込みです。

2025年の見通しでは、地域と事業部門のバランスが寄与し、調整後Ebitda(利払い・税引き・減価償却前利益)は2024年を上回る水準になると予測されています。

さらに、SLBは四半期配当を3.6%引き上げ、1株27セントに設定。新配当は2025年2月5日時点で株主名簿に記載された株主に対し、4月3日に支払われます。同時に、今年の自社株買い枠を最低40億ドルに増額する計画を発表しました。

過去12カ月の株価動向と今後の見込み

SLBの株価は過去12カ月間で12.2%下落しており、S&P500指数が同期間で23.9%上昇しているのと比べると見劣りします。しかし、第4四半期の好業績や国際事業の成長により、今後の回復が期待されます。

SLBは第1四半期の売上と調整後Ebitdaが前年同期に近い水準になると見込んでおり、第2四半期以降は特に国際市場での回復が見込まれています。

石油・ガス業界の変化や技術革新が進む中、SLBは引き続きリーダーシップを発揮し、持続的な成長を目指しています。

*過去記事「石油採掘業界とAIの融合:効率性向上と未来への展望

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