TSMC決算直前:AIチップ需要と米国の輸出規制が焦点

  • 2025年1月16日
  • 2025年1月16日
  • TSMC

TSMCとして知られる台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)は米国東部時間で1月16日の朝に予定されている2025年1月の四半期決算発表において、AIハードウェア需要の高まりを背景に四半期利益が急増する見通しを示しています。しかし、米国政府によるAIチップの輸出規制提案が、今後の業績に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

売上高55%増の予想、予測を上回る結果に

TSMCは、同社をカバーするアナリスト26名を対象としたファクトセットの調査で、2025年12月期の純利益が前年比55%増の3706.4億台湾ドル(112.4億ドル)と予想されています。また、すでに発表されている同期間の売上高は月次ベースで8685億台湾ドル(263.5億ドル)となり、ファクトセットが予測した8540億台湾ドルを上回りました。

AI需要がTSMCの成長を牽引

TSMCは、エヌビディア(NVDA)をはじめとするAIアプリケーション向けのハイエンドチップ市場で重要な役割を果たしています。エヌビディア以外にも、アップル(AAPL)、クアルコム(QCOM)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)といった大手企業にモバイルチップセットやプロセッサを供給しています。

AIシステムのインフラストラクチャへの投資が引き続き増加しており、この分野でTSMCは業界のリーダーとしての地位を強化しています。

今後の見通しと懸念材料

ドイツ銀行のアナリスト、ロバート・サンダース氏によると、TSMCは2025年の売上高が米ドルベースで20~25%増加する可能性があると見込まれています。これにはAI関連市場の需要拡大が大きく寄与しています。

一方で、バイデン政権が提案しているAIチップ輸出規制はTSMCの顧客に影響を与える可能性があり、この規制に対する同社の公式見解が注目されています。台湾は規制の対象外とされていますが、顧客企業の一部が規制の影響を受けることで、TSMCの売上に間接的な影響が出る可能性が懸念されています。

AIチップ規制の影響に注視

アナリストたちは、TSMCがAIチップ規制についてどのようなコメントを出すのかに注目しています。この規制は、120カ国以上を対象とするもので、AI技術における地政学的なリスクが浮き彫りとなっています。TSMCがこの状況にどのように対応していくのかが、今後の業績や市場シェアに大きな影響を与えると予測されています。

まとめ

TSMCは、AI需要の高まりを背景に業績を伸ばしていますが、今後の市場環境には注意が必要です。特に、米国の輸出規制が同社やその顧客に与える影響については、引き続き慎重な見極めが求められる状況です。2025年もAI市場の成長が期待される中、TSMCの動向が注目されます。

*過去記事 TSMC

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