マイクロソフト（MSFT） は1月14日、2025年を「量子対応元年」としてビジネス顧客に量子コンピューティングへの備えを促しました。同社は、「信頼性の高い量子コンピューティング時代の到来が目前に迫っている」と述べ、量子コンピュータが近い将来に意義のある問題を解決し、新たなビジネス価値を創出する可能性を強調しました。
「今後12か月間で量子研究と開発のペースがさらに加速するため、ビジネスリーダーにとって行動を起こす重要な時期となる」と同社はブログ投稿で述べています。
注目を集める小型企業の株価が高騰
この発表があったためか、量子コンピューティング市場で注目を集める小型株企業4社の株価が14日の米国市場で高騰しました。
- クォンタム・コンピューティング（QUBT）：+13.96%
- リゲッティ・コンピューティング（RGTI）：+47.93%
- イオンキュー （IONQ）：+5.92%
- ディーウェーブ・クアンタム（QBTS）：+23.50%
これらの企業は、投資家たちが量子技術の可能性を評価しようとする中で大きな動きを見せています。特に、アルファベット（GOOGL）傘下のグーグルが量子ハードウェアに関する重要な進歩を発表した際には、株価が急騰しました。しかし、業界内での懐疑的な見解が影響し、最近では株価が下落しています。
量子コンピューティングの実用化には時間が必要
量子コンピューティングが現在の技術を大きく進化させる潜在力を持つ一方で、マイクロソフトのスケジュールは楽観的すぎるという意見も見られます。エヌビディアのCEOであるジェンスン・フアン氏は、量子コンピュータが実用的な作業を可能にするまでには、少なくとも15年かかると見積もっています。
カリフォルニア工科大学のジョン・プレスキル氏は、ビジネス価値のある量子コンピュータが実現するまでには20年ほどかかる可能性があると述べています。また、イェール大学のスティーブン・ガーヴィン教授は、経済的に有用な量子技術が普及するには10年ほど必要と考えています。その一方で、企業は早期から準備を始め、量子技術の利点を最大限に活用できる体制を整えるべきだと提言しています。
量子コンピューティングへの準備：企業の今後の対応
Quantum CircuitsのCEOであるレイ・スメッツ氏は、企業が自社ビジネスへの量子技術の適用方法を模索するべきタイミングだと語っています。同氏は2025年に向けて、着実な進歩が期待できると強調しています。量子技術の進化は徐々に進みますが、重要な成果が期待される時期は近づいています。
まとめ
量子コンピューティングは、将来的にビジネスや社会全体に大きな影響を与える技術です。マイクロソフトをはじめとする企業の動きは、この分野が進化する中での方向性を示しています。一方で、技術的な実用化までには時間が必要であり、企業や投資家は長期的な視点での準備が求められます。
量子技術に興味を持つ投資家にとって、これからの数年間は重要な観察期間となりそうです。企業がどのようにこの技術を活用するか、注目が集まります。
＊過去記事 マイクロソフト MSFT