2025年のテック業界リーダーの見通しを評価するシリーズとして、ライアン・シュラウト氏が執筆し、マーケットウォッチに掲載された記事をご紹介します。シュラウト氏は、テクノロジー業界の主要企業に関する洞察を提供し、製品実行、市場調整、競争環境の変化に基づいたコメントを展開しています。
エヌビディアの2024年の成果と成長
2024年、エヌビディア（NVDA）は製品面でも株式市場への影響でも最も注目を集めたテクノロジー企業でした。同社のデータセンター向けGPUやネットワーキングの戦略的進展、サービス分野での成長と野望、自動車、ロボティクスなど新興産業での強さが市場でのリーダーシップを固めました。
2024年第3四半期、エヌビディアは前年同期比94%増の351億ドルの売上を報告しました。この成長の主因はデータセンター部門で、売上は記録的な308億ドルに達し、前年同期比112%増加しました。AIやデータセンター向けGPUの需要増加がこれを後押ししました。18か月前、エヌビディアの四半期売上は75億ドル未満だったことを考えると、その成長は目覚ましいものがあります。
エヌビディアの2025年に向けた展望
エヌビディアのデータセンターGPU事業は、2025年も大幅な成長が見込まれています。特にB200ブラックウェルGPUや前世代のホッパーGPUは、Tier-1およびTier-2サービスプロバイダー向けに引き続き供給されています。また、ブラックウェルウルトラ“B300”GPUでは、推論ワークロードの性能が大幅に向上することが噂されています。この性能向上により主要なクラウドサービスプロバイダーが再びアップグレードサイクルを開始し、開発者や企業に最新のAIモデルを提供するための競争がさらに激化すると予想されます。
エヌビディアのソフトウェア・エコシステムも依然として強力で、ソフトウェアのアップデートや重要なマイルストーンごとに市場の注目を集める能力を維持しています。
サービス分野への拡大
エヌビディアは、AI ファウンドリーやエヌビディア・インフラストラクチャ・マネジメント・サービス（NIMs）といったイニシアチブを通じて、AIインフラの売上のシェア拡大を目指しています。企業と直接連携することで、従来のクラウドサービスプロバイダーを経由せずに高い利益率を実現することを目指しています。
さらに、AIデータセンター以外の分野にも成長の機会を模索しています。自動車、ロボティクス、オムニバースやEarth-2のようなシミュレーションプロジェクトへの投資は、新たな収益源を開拓し、イノベーションを促進する可能性があります。
ゲーミング市場とPCへの進出
エヌビディアのGeForceラインはPCゲーム市場でリーダーの地位を維持しており、新GPUの発表も間近です。PCゲーム分野での価格上昇のトレンドを背景に、エヌビディアはこの分野で利益率をさらに高める可能性があります。
また、AI PC市場にも進出し、ArmベースのチップをWindows PCセグメントに導入し、インテル（INTC）、クアルコム（QCOM）、AMD（AMD）と競争する意向です。
直面するリスク
シュラウト氏はエヌビディアが直面するリスクを以下の通りあげています。
- AIソフトウェアインフラのコモディティ化： AMDのMI300XやインテルのGaudiのような競合ソリューションをサポートする一般的なソフトウェアツールの採用により、競争環境が変化する可能性があります。
- カスタムシリコンとの競争： アルファベット（GOOGL）のGoogle Cloud、マイクロソフト（MSFT）Azure、アマゾン（AMZN）AWSなど主要なクラウドプロバイダーが独自のAIアクセラレータやプロセッサの開発を進めています。
- 市場の飽和： AIチップ業界で95%の市場シェアを持つエヌビディアは、AI市場の成長が停滞または減速した場合、大きな影響を受ける可能性があります。
- 垂直サービスでの競争： DGX CloudやGeForce Nowのようなクラウドプロバイダーと競合するサービスへの拡大は、将来的な受注に影響を及ぼす可能性があります。
評価と成長見通し
エヌビディアの多角的な製品ポートフォリオと戦略的投資により、AIハードウェア投資が減少しても成長を維持する能力があると考えられています。同社のジェンスン・フアンCEOは、今後の展開に対する信頼を得ています。
2024年の印象的な成果を基盤に、エヌビディアはデータセンターGPU、ネットワーキング、サービス、新興製品カテゴリの強みを活用し、テクノロジー業界を牽引する可能性があります。
ライアン・シュラウト氏の詳細な分析は、テック業界におけるエヌビディアの未来を見通す上で非常に興味深い内容となっています。
＊過去記事はこちら エヌビディアNVDA