2025年初頭の決算シーズンを前に、ウォール街ではハイテク株の割高感と長期債利回りの急上昇が注目されています。通常、長期債利回りの上昇はハイテク株にとってマイナス要因とされ、その理由は成長企業の将来利益の価値が金利上昇によって割り引かれるためです。また、インフレの粘着性を背景に、連邦準備制度理事会(FRB)が高水準の金利を維持するという予測も、ハイテク株には重しとなっています。
ハイテク株の下落と決算期への期待
投資家はこうしたリスクを認識しており、ハイテク株が多く含まれるナスダック総合株価指数は、2024年12月16日の終値から約5.4%下落しています。決算期が近づくと、これらの企業のバリュエーション(企業価値評価)が改めて精査されることになり、わずかな売上の改善だけでは投資家の強気姿勢を支えきれない可能性があります。
割高感を超えて注目される企業
決算期を前に、割高感が相対的に和らぎつつ、成長性が高い企業に注目が集まる可能性があります。現在、ナスダック100(NDX)は今後12ヵ月間の予想利益の約27.6倍で取引されており、過去5年間の平均(26.9倍)を上回る水準にあります。
割高銘柄の代表例
- パランティア・テクノロジーズ(PLTR)
将来利益の136.3倍という高水準で取引されており、ナスダック100の中でも最も割高とされています。 - テスラ(TSLA)
フォワード売上の117.6倍で取引されており、こちらも極めて高いバリュエーションが特徴です。
割安銘柄に注目
一方、「マグニフィセント・セブン」の一角であるアルファベット(GOOGL)は、フォワード売上の21倍と比較的割安な水準で取引されています。これはナスダック100や同業他社より低く、アルファベット自身の過去5年平均(22.9倍)をも下回ります。同社の株価は過去12ヵ月で34%上昇しており、AIや量子コンピューティング分野への投資が期待されています。
注目すべき他の銘柄
- クアルコム(QCOM)
過去12ヵ月で株価が11%上昇し、フォワード売上の13.6倍で取引されています。アップルのiPhone向けチップを2026年まで供給する契約を結んでいる一方、今後は自社製チップへの移行リスクが取り沙汰されています。しかし、PC市場の事業拡大を積極的に進めており、Snapdragon Xプロセッサの発表にも注目が集まります。 - マイクロン・テクノロジー(MU)
今年に入り株価が12%上昇し、フォワード売上の10.8倍で取引されています。同社のメモリ製品はAIシステムに欠かせないコンポーネントであり、特に広帯域メモリやDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)は、今後の需要増加に伴う成長が期待されています。
最後に
確かにハイテク株全体のバリュエーションは依然として高い水準にあります。しかし、詳細に調査すれば成長性が高く、かつ割安な銘柄を見いだせる可能性があります。2025年の決算シーズンに向けて、投資家はセクター全体のトレンドだけでなく、個別銘柄の特性や成長ポテンシャルをしっかりと見極めることが重要です。