エヌビディア株価が下落!AI輸出規制が米半導体業界に与える影響とは?

エヌビディア(NVDA)の株価が下落しています。1月13日の米国市場の午前11時過ぎの段階で3%下落し、131.82ドルで取引されています。過去5営業日では約12%下落しています。この背景には、バイデン政権が進める人工知能(AI)技術に関する新しい輸出規制があると考えられます。

他の主要な半導体メーカーも同様に株価が下落しています。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は0.5%下落し、インテル(INTC)は1.6%下落しました。ナスダック総合指数も1.2%の下落を記録しており、テクノロジー株全体に影響が広がっています。

バイデン政権の新規制とは?

バイデン政権は、特定の国に向けた最先端AIチップの輸出に上限を設ける新しい規則を発表しました。この規則では、特に高度なAIシステムを支えるデータの輸出にはライセンスが必要となります。アメリカ政府はこの新規則について、「チップ規制を強化し、密輸や抜け穴を防止することで、米国のAIリーダーシップを維持する」と述べています。

18カ国のアメリカの同盟国は半導体技術への完全なアクセスを維持する一方で、ほとんどの国は新たな制限の対象となります。ただし、小規模な注文(最大1,700個の先進AIチップ)についてはライセンス不要とされており、各国の購入上限にも含まれません。

エヌビディアの懸念

エヌビディアのAIチップは既に中国への輸出規制の影響を受けていますが、今回の新規則によりさらに厳しい制約が課される可能性があります。同社は、これが売上の大半を占めるアメリカ企業への供給や、各国政府が推進する「主権AI」プロジェクトに悪影響を与えると主張しています。

同社の政府関連業務担当副社長ネッド・フィンクル氏は、「この規則はアメリカの半導体業界の競争力を低下させ、技術革新を阻害する可能性がある」と懸念を示しています。また、サウジアラビアやアラブ首長国連邦といった主要なAIハードウェア購入国が新規制の影響を受けることも問題視されています。

規制に対する業界の反発

半導体業界全体でも、この新しい規制に対する批判が強まっています。半導体工業会は、規制を緩和する政策の策定を次期政権に求めています。特にトランプ次期政権がこの問題をどのように取り扱うかに注目が集まっています。

トランプ政権の関税計画もチップ業界に新たな不透明性をもたらす可能性があります。専門家の間では、これらの課題に対する明確な方針が示されることで、業績の回復が期待できるとの見方がされています。

長期的な見通し

メリウス・リサーチのアナリストであるベン・ライツェス氏は、エヌビディアとブロードコム(AVGO)をAIチップ分野での有望な銘柄として挙げています。同氏は、「新規制や関税の影響が解消されれば、これらの企業の成長が再び加速する」と述べています。

エヌビディアは、次期政権の政策変更による規制緩和に期待を寄せており、2025年以降の成長の道筋を探っています。技術革新と競争力強化を通じて、引き続き市場を牽引する姿勢を示しています。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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