投資家必見!ROIC(投下資本利益率)を活用した米国株の選び方

株式投資で成功するためには、企業の財務データを適切に活用することが重要です。その中でも、「投下資本利益率(ROIC)」は、経営陣がどれだけ効率的に投資家の資金を活用しているかを示す指標として注目されています。しかし、会計上の複雑なルールがこの指標を歪める可能性があります。今回は、S&P 500指数を対象に、ROICを基準とした企業選定について詳しく解説します。

投下資本利益率(ROIC)とは?

ROICは、企業の純利益を投下資本で割った値で計算されます。投下資本には、普通株式、優先株式、長期負債、および資本化されたリース債務の簿価が含まれます。ただし、以下の点に留意する必要があります。

  • 企業が発行した株式の簿価は、現在の市場価値よりも低い場合がある。
  • 最近高値で株式を発行した場合、ROICが低下する可能性がある。
  • 負債が少ない企業ほど、ROICが高くなる傾向がある。

これらの要素を考慮せずにROICを評価すると、誤った結論に至ることがあります。

新たな視点を提供するNew Constructs社のROIC分析

投資データ・調査会社であるNew Constructsは、ROICの計算における歪みを解消するために30以上の調整を行っています。この方法では、通常の会計処理では省かれる要素も含めて計算を行うため、企業の真の経営効率をより正確に測定できます。

例えば、過去の減損処理やのれんの帳消しなどは、ROICを歪める要因となり得ます。New Constructsは、1986年まで遡って企業の財務データを精査し、これらの項目をROIC計算に含めています。

S&P 500の中でROICが高い企業の例

以下は、New Constructsの調整済みROICデータに基づき、S&P 500の中で特にROICが高い企業のリストです。なお、このデータは直近5年間の平均値に基づいています。

投下資本利益率トップ10企業

  1. テキサス・パシフィック・ランド(TPL)
    平均ROIC: 105.96%
  2. アリスタ・ネットワークス(ANET)
    平均ROIC: 94.28%
  3. NVR(NVR)
    平均ROIC: 77.78%
  4. アップル(AAPL)
    平均ROIC: 77.52%
  5. マスターカード(MA)
    平均ROIC: 68.88%
  6. エヌビディア(NVDA)
    平均ROIC: 63.88%
  7. ブッキング・ホールディングス(BKNG)
    平均ROIC: 63.72%
  8. バーテックス・ファーマシューティカルズ(VRTX)
    平均ROIC: 62.86%
  9. モデルナ(MRNA)
    平均ROIC: 61.86%
  10. エンフェーズ・エナジー(ENPH)
    平均ROIC: 60.70%

高いROICが示す意味

これらの企業は、資本を効率的に活用していることを示しています。例えば、テキサス・パシフィック・ランド(TPL)は平均105.96%という非常に高いROICを誇ります。一方で、ROICが高い理由には、会計処理の影響も含まれるため、注意深く分析することが重要です。

具体例:ベリサイン(VRSN)のケース

例えば、ベリサイン(VRSN)は、過去5年間でROICが224.9%と高い水準にあります。ただし、この数字は未調整の会計データに基づくもので、のれん減損などがROICを押し上げている可能性があります。New Constructsの調整後では、同社の2023年のROICは4.4%、5年平均では3.9%と計算されています。

ROICを投資戦略に取り入れるメリット

ROICは、企業の効率性を測定する有力な指標です。特に、New Constructsのような調整済みデータを活用すれば、より正確な投資判断が可能になります。投資家にとっては、単に高いROICに注目するだけでなく、その背後にある会計処理や財務戦略を理解することが成功への鍵となります。

このように、ROICを中心に据えた投資分析を行うことで、長期的なリターンを得る可能性が高まります。ぜひ参考にしてください。

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