昨年株価が倍増したことで注目を集めている電力供給会社コンステレーション・エナジー(CEG)が、164億ドルの現金と株式でカルパインを買収することで合意しました。この取引により、コンステレーションは5000万株の株式と45億ドルの現金を支払い、カルパインの127億ドルの負債を引き継ぎます。
この発表後、1月10日の米国市場でコンステレーションの株価は25.16%上昇し、終値は305.19ドルとなりました。
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株価が急上昇した背景と課題
コンステレーションは、スリーマイル島原発の再稼働と、マイクロソフト(MSFT)への原子力発電の提供で昨年株価が156%急騰しました。同社のクリーンエネルギー事業の成長が市場で評価されている一方で、カルパイン買収後には規制当局からの承認が必要となるため、不透明感が高まっています。
ジェフリーズのアナリストは、この取引は戦略的に有利であると評価していますが、連邦エネルギー規制委員会や州規制委員会からの承認には時間がかかる可能性があると指摘しています。この取引の完了は2026年までに予定されています。
カルパインの重要な役割
カルパインは、テキサス、カリフォルニア、ニューイングランドに多くの発電資産を持つ、米国最大級の天然ガスおよび地熱発電施設の所有者です。今回の買収により、コンステレーションはカリフォルニア北部にある国内最大の地熱発電施設「ガイザーズ」を手に入れることが可能となります。
コンステレーションのCEOジョー・ドミンゲス氏は、カルパインの業界トップクラスの低炭素発電設備と自社のゼロエミッション原子力エネルギーを組み合わせることで、最も多様なエネルギー商品とサービスを提供できると述べました。
買収のメリットと課題
UBSのアナリスト、ウィリアム・アピチェリ氏は、コンステレーションがこの取引によって多様な市場環境に対応できる資産ポートフォリオを獲得できる点を評価しています。一方で、大規模なガス発電設備の導入により、従来の化石燃料依存が増え、クリーンエネルギー企業としてのイメージが損なわれる可能性を指摘しています。
EPSの向上と財務面での影響
コンステレーションは、今回の買収により2026年の調整後一株当たり利益(EPS)が20%以上増加し、将来的には少なくとも一株当たり2ドルのEPSが増えると予測しています。また、投資適格のバランスシートを維持し、S&Pおよびムーディーズの格付けを継続できる見込みです。
買収後の運営体制
合併後の本社はコンステレーションの地元ボルチモアに置かれますが、カルパインの主要拠点であるヒューストンにも「重要なプレゼンス」が維持される予定です。合併が承認されると、東海岸から西海岸そしてメキシコ湾岸と、40州にまたがる全米規模の一大クリーンエネルギー供給会社が誕生することになります。
今後の展望
コンステレーションのカルパイン買収は、クリーンエネルギー市場における戦略的な拡大の一環です。しかし、規制当局の承認プロセスや、市場の化石燃料依存への懸念が影響を及ぼす可能性があります。同社がどのようにこれらの課題を克服し、収益性を高めるかが注目されるところです。