モルガン・スタンレーが、人気の人工知能(AI)銘柄であるパランティア・テクノロジーズ(PLTR)の担当アナリストを変更し、株価に対する厳しい見通しを示しました。
新たに担当したサンジット・シン氏は、同社に「アンダーウェイト(弱気)」の評価を付与し、目標株価を60ドルに設定しました。同社への評価は以前もアンダーウェイトでしたが、11月に一旦評価を外し、その後再評価が行われています。
株価79.89ドルに対する市場の目標価格との乖離
ファクトセットによると、パランティアを追跡するアナリストの中で目標株価が1月3日現在の株価79.89ドルを上回るものはありません。最も高い目標価格を設定しているのはウェドブッシュ証券のダン・アイブス氏で75ドル、最も低いのはRBCキャピタル・マーケッツのリシ・ジャルリア氏が設定した11ドルです。
パランティアの成功要因とシン氏の見解
モルガン・スタンレーのシン氏は、アレックス・カープCEOが率いるパランティアが、いくつかの重要なポイントで成功を収めていることを認めています。特に、米国の商業部門の成長加速、政府関連事業の再加速、そして経費管理が挙げられます。
さらに、AI導入を迅速に進めたいと考える企業や意思決定者にとって、パランティアは「数少ない信頼できるパートナーの一つ」として認識されているとも述べています。同社はトランプ次期政権との関係性や共同創業者であるピーター・ティール氏を通じて、さらなる政府関連の仕事を獲得する可能性も示されています。
株価上昇の要因と将来的なリスク
シン氏は、2024年のパランティア株価が340%も上昇した理由について、ほぼ全てが株式評価倍率(マルチプル)の拡大(292%増)によるものだと分析しています。一方で、2025年の売上見通しは年間でわずか10%しか上昇しておらず、株価には10年間で年間30%の成長率や41%のフリーキャッシュフローマージンが織り込まれていると指摘しています。
さらに、目標株価60ドルでさえ、同社が「高成長ソフトウェア企業」と呼ばれる企業群の中で最も割高な水準にあることを意味します。同社の株式は同業他社に対して80%ものプレミアムが付いているとされています。
投資家に求められる視点
パランティアは、AI分野における競争力や政府関連の優位性を持つ一方で、その株価には将来的な高い成長がすでに織り込まれていると考えられます。投資家にとって、同社の長期的な成長性と現在の株価水準を慎重に見極める必要があります。
*過去記事はこちら パランティア PLTR