ヒューストンを拠点とする宇宙開発企業インテュイティブ・マシーンズ(LUNR)が、NASAの近宇宙ネットワーク(NSN)から新たな契約を獲得したと発表しました。この契約は、同社のCEOであるスティーブ・アルテマス氏によると、最大48億2000万ドルの潜在的価値を持つNSN契約の活用をさらに進めるものとなります。
今回の契約内容には、静止軌道から月周回軌道への直接地球向けサービスや、高楕円軌道および深宇宙活動における月周回軌道から地球へのデータ中継サービスが含まれています。このようなサービスは、地球と月の間の通信インフラを強化する重要な役割を果たします。
アナリストの評価と企業の成長
ベンチマークのアナリストであるジョシュ・サリバン氏は、この契約によってインテュイティブ・マシーンズがNSN契約の大部分を確保したと評価しています。また、サリバン氏は、今回の受注により同社が長期的な月面インフラの柱となる地位を築く可能性を指摘しました。
同社は9月にもNSN契約を発表しており、その際に株価が急騰しました。サリバン氏は、「この契約は月との通信およびデータ中継における基盤となる」と述べており、サービス開始後には高い利益率が見込まれる可能性を示唆しています。また、NSN契約がもたらす膨大な受注残は、企業の財務的安定性にも寄与するとされています。
株価の動向と市場の期待
インテュイティブ・マシーンズの株価は、12月23日の取引で7.4%上昇し、12月16日の10.7%上昇以来の大幅な伸びを記録しました。24日の米国市場でも14.2%高の16.65ドルとさらに大きく上昇し、2024年の株価上昇率は552%と驚異的な伸びを見せています。
ファクトセットが調査したアナリスト6人の評価では、1人が「強気」、5人が「買い」と推奨しており、全体としてポジティブな見解が多い状況です。
今後の展望と月面探査競争
同社は2025年初頭に、商業用着陸機「オデッセウス」に続く新たな月面ミッション「IM-2」を打ち上げる予定です。このミッションでは、ドリル、ホッパー、ローバーを月面に展開する計画であり、さらに複雑な探査ミッションとなる見込みです。
ベンチマークのサリバン氏は、中国が進める月面探査技術の進展が地政学的な重要性を増す中、インテュイティブ・マシーンズの役割がより重要になると述べています。一方で、NASAのアルテミス計画は技術的および予算的な課題に直面しており、同社が提供する商業的なスピードとコスト優位性が、米国の月面インフラ構築に大きく寄与することが期待されています。
インテュイティブ・マシーンズは、今年初めに1970年代以来となる米国の月面着陸を成功させ、商業用打ち上げ事業者としての地位を確立しました。今後の月面ミッション継続により、同社の成長がさらに加速すると見込まれます。
まとめ
インテュイティブ・マシーンズは、NASAとの契約を通じて月面探査と通信インフラ構築において重要な役割を果たしています。同社の高い技術力と商業的な効率性は、競争が激化する宇宙開発分野での競争力を強化しています。投資家にとっても、長期的な成長が期待できる魅力的な銘柄となっています。