年末年始の旅行需要が高まりを見せる中、米国の航空業界は好調な年の締めくくりを迎えようとしています。この需要の増加により、2025年以降の株価上昇にも期待が寄せられています。
主要航空会社が業績見通しを上方修正
感謝祭や12月の旅行需要が好調だったことを受け、多くの航空会社が第4四半期の業績見通しを上方修正しました。これには、サウスウエスト航空(LUV)、アメリカン航空(AAL)、ジェットブルー航空(JBLU)、アラスカ航空(ALK)などが含まれます。この動きにより、これらの企業の株価は上昇しています。
12月の旅行需要も引き続きセクターにとってプラス材料となる見込みです。運輸保安局(TSA)は、12月19日から1月2日の間に約4000万人の乗客検査を予測しており、これは前年から6.2%の増加に相当します。一方で、政府機関の閉鎖リスクによりTSA業務が困難になる可能性が指摘されています。前回の政府閉鎖(2018年12月~2019年1月)の際には航空会社の株価に大きな影響はありませんでしたが、今後も同様の安定性が保たれるか注目されています。
2024年の旅行トレンドと株式市場への影響
2024年の後半は、米国の航空業界にとって特に活況を呈しました。2024年のトップ10に入る混雑日すべてが5月以降に集中していますが、12月1日には空港の乗客検査数が過去最高の309万人を記録しました。このような旅行トレンドは株式市場にも反映されており、航空業界を追跡するグローバルJETS上場投資信託(ETF)は8月に52週間の最安値を記録して以来53%上昇し、2024年全体では32%の上昇を示しています。
2025年以降の見通しと収益予測
国際航空運送協会(IATA)によると、世界の航空会社の売上は2025年に1兆ドルに達する可能性があると見込まれています。2024年の予想純利益が315億ドルであるのに対し、2025年には366億ドルに増加するとのことです。この成長は、航空会社が原油価格の低下を活用しつつ、ロードファクター(座席利用率)を83%以上に維持し、コスト管理を徹底していることが背景にあります。また、脱炭素化への投資も業界の成長を支える重要な要素となっています。
大手航空会社の株価パフォーマンス
レガシーキャリア(大手航空会社)は、国際路線やプレミアム旅行の需要増加によって好調なパフォーマンスを維持しています。ユナイテッド航空(UAL)の株価は2024年に132%上昇し、95.56ドルに達しました。S&P 500種の中で6番目のパフォーマンスを記録しており、デルタ航空(DAL)の株価も50%上昇して60.38ドルとなっています。
ウォール街のアナリストは、2社の株価が来年もさらに上昇すると予測しています。ユナイテッド航空の平均目標株価は116ドルとされ、現在の水準から約21%の上昇が期待されています。デルタ航空については78.57ドルが平均目標株価であり、これは30%の上昇に相当します。
投資家への推奨と将来の市場動向
2025年に向けて、業界のリーダーであるアメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空に投資することが推奨されています。ドイツ銀行のマイケル・リネンバーグ氏は、これら3社が米国航空業界の営業利益の大半を占めており、2025年も引き続きこの傾向が続くと予測しています。
さらに、ジェフリーズのアナリストは、航空会社の株価がパンデミック前の株価倍率に戻る可能性についても検討しています。ユナイテッド航空の株価が現在の割引率からさらに改善すれば、126.56ドルに達する可能性があると見られており、デルタ航空についても同様の上昇が期待されています。
まとめ
2024年の後半から始まった航空業界の成長は、年末年始の旅行需要を追い風に、さらなる発展が期待されています。2025年以降も大手航空会社を中心に成長が続く見通しであり、業界全体としても投資家にとって魅力的なセクターとなると考えられます。