伝説的な投資家が描く未来:エヌビディアの50兆ドル時価総額は実現するのか

ジェームズ・アンダーソン氏は、スコットランドの投資運用会社ベイリー・ギフォードで長年活躍し、スコットランド・モーゲージ・インベストメント・トラストを指揮した伝説的な投資家です。その過程で1,700%もの利益を実現し、現在はリンゴット・インベストメント・マネジメントのマネージング・パートナーを務めています。

同氏が注目された理由の一つは、Amazon(アマゾン)、Tesla(テスラ)、エヌビディア(NVDA)といったテクノロジー企業に早期に投資し、大きな成功を収めた点です。同氏が語る言葉は多くの投資家が注目すべき内容を含んでいます。

エヌビディアの急成長:AIの影響がもたらした成果

エヌビディアの最近の業績は驚異的であり、人工知能(AI)がその成長を大きく後押ししました。たった12か月で時価総額は1.2兆ドルから3.2兆ドルに急上昇し、その背景にはAI処理におけるゴールドスタンダードとされたグラフィック処理ユニット(GPU)の存在があります。

エヌビディアは、ここ5四半期にわたり前年比で3桁の売上成長率を記録する快挙を遂げました。2025年度第3四半期には、売上が前年比94%増の350億ドルに達し、希薄化後1株当たり利益(EPS)は103%増の0.81ドルとなりました。

また、2025年度の最初の9か月間で、エヌビディアは910億ドルの売上を上げ、年間では1,290億ドルを超えると予測されています。この規模の成長は数年前には想像もできないものでした。

例えば、直近の四半期における350億ドルの売上は、2023年度通年の売上である270億ドルを大きく上回っています。しかも、この成長はまだ始まったばかりかもしれません。

AI市場の規模拡大とエヌビディアの可能性

PwCのアナリストによると、AI市場は2030年までに15兆7,000億ドルに達する可能性があるとされています。AIは依然として発展途上にある分野であり、エヌビディアがこの市場の一部を獲得するだけでも、売上と利益のさらなる拡大が期待されます。

アンダーソン氏は、AI処理の大半が行われるデータセンターで使用されるAIチップの需要が、年間60%のペースで増加していると指摘しています。このペースで成長が続けば、2034年にはEPSが1,350ドルに達し、1株あたり約2万ドルの株価となる可能性があります。その結果、エヌビディアの時価総額は約49兆ドルに到達することになります。

支配的地位と持続的な競争優位性

エヌビディアの支配的地位はゲーム用GPU市場から始まりましたが、同分野ではデスクトップGPU市場シェアが90%に達しています。また、同社はデータセンター分野でも圧倒的な強さを示し、2022年と2023年の両年で98%のシェアを誇りました。

アンダーソン氏は、「エヌビディアの持続的な指数関数的進歩、ハードウェアとソフトウェアにおける競争優位性、そして企業文化とリーダーシップは非常に優れている」と評価しています。

エヌビディアが50兆ドルに達するための条件

エヌビディアが50兆ドルの時価総額に達するためには、現在の3.2兆ドルから1,458%の上昇が必要です。この目標を達成するには、年間売上を約2兆ドルに伸ばさなければなりません。これには、今後10年間で年間35%の成長率を維持する必要があります。

ただし、この目標達成にはいくつかのリスクも伴います。AIの普及が期待通り進まないことや、競争の激化、大規模な経済変動などが懸念材料として挙げられます。

投資家にとっての示唆

アンダーソン氏は、「エヌビディアが50兆ドルに達する可能性は10~15%とかなり低い」としながらも、長期的に見ればエヌビディアのような企業が持つ成長の可能性を重視しています。現在の株価収益率は51倍と高く見えますが、過去10年間の平均株価収益率である59倍と比較すると割安ともいえます。さらに、来年度の予想利益に基づくと、P/Eは約29倍であり、成長性を考慮すると魅力的な水準です。

最も重要な問いは、「エヌビディアが50兆ドルに達するかどうか」ではなく、「この業界リーダーに投資すべきかどうか」です。特に妥当な価格で株式を購入できる場合、同社への投資は非常に魅力的と言えます。

エヌビディアは、イノベーションの実績とAI市場の追い風を考慮すると、長期的な成長の可能性を秘めた企業です。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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