太陽光発電設備メーカー、ソーラーエッジ・テクノロジーズ(SEDG)の株価は12月17日に大幅に上昇し、市場で注目を集めました。ゴールドマン・サックスが同社の株式を「売り」から「買い」にダブル格上げし、目標株価を19ドルに設定したことが背景です。17日の終値は16.64%高の14.37ドルとなりました。
ソーラーエッジに対する市場の懸念
ゴールドマン・サックスのアナリストチームは、これまでの投資家の懸念が過剰であると指摘しています。同社が2025年に到来する3億5000万ドルの負債に対処する能力は十分にあり、現在の株価水準は魅力的なリスク・リターンを提供していると報告書で述べています。
業界が直面する課題
ソーラーエッジは、太陽光発電業界の複数の課題に直面している状況です。
- 金利の上昇:米国では金利の高止まりにより、ソーラーパネル設置の資金調達コストが上昇し、消費者の需要が低迷しています。
- 政治的要因:ドナルド・トランプ氏が再選を果たした場合、化石燃料への投資が優先されることが予想され、クリーンエネルギー関連銘柄への逆風となる可能性があります。
- 欧州市場の停滞:欧州では市場が飽和しており、競争激化による値下げが利益率を圧迫しています。
このような厳しい状況の中、ソーラーエッジは11月初旬に6億1200万ドルの在庫評価損を計上しました。
事業再編とコスト削減の取り組み
11月下旬、ソーラーエッジは事業再編とコスト削減計画を発表しました。この計画には500人の人員削減とエネルギー貯蔵事業の廃止が含まれています。ゴールドマン・サックスは、この「シュリンク・トゥ・グロウ」戦略が効果を上げ始め、2025年第4四半期には黒字転換すると予測しています。
アナリストは「ソーラーエッジにおいて転換点が訪れており、住宅用ソーラー市場は今後1年以内に成長に転じる」と楽観的な見方を示しています。
太陽光発電業界全体の動向
金利の低下や電力需要の増加といった明るい材料もありますが、業界全体が大きく回復するには至っていません。ソーラーエッジの株価は2024年に入ってから87%下落しており、ラッセル2000種指数が同期間で17%上昇しているのとは対照的です。
同業他社の株価も同様に今年大きく下落しています。
- サンラン(RUN):年初来で49%下落
- エンフェーズ(ENPH):46%下落
- サンノヴァ(NOVA):74%下落
17日の市場では、これらの銘柄の株価も上昇。サンランは0.7%高、エンフェーズは2.49%高、サンノヴァは5.12%高となりました。
ソーラーエッジの今後の展望
ゴールドマン・サックスの分析では、ソーラーエッジは現在の逆風を克服し、将来的には成長の兆しが見えてくるとしています。市場環境の改善や事業再編の成功が期待される中、来年がソーラーエッジにとって重要な転換点になる可能性が高いと予想されています。