オンライン検索市場を長年支配してきたGoogleの地位が、ChatGPT開発元のOpenAIや他のAIスタートアップ企業によって揺さぶられています。しかし、Googleの親会社であるアルファベット(GOOGL)もAIツールを強化し、反撃に出ています。
ChatGPTの検索機能が全ユーザーに拡大
マイクロソフト(MSFT)が支援するOpenAIは、12月16日にChatGPTの検索機能「ChatGPT Search」をすべてのユーザーに開放すると発表しました。これまで同機能は有料会員に限定されていましたが、これによって3億人を超える週次ユーザーが利用可能になります。これはGoogleの検索市場にとって大きな脅威となる可能性があります。
ChatGPT Searchの製品責任者であるアダム・フライ氏は、「私たちはウェブからの最新情報を加えることで、ChatGPTの体験をさらに向上させる」と動画内で述べました。
市場の変化とGoogleの危機感
Googleは依然として検索市場のリーダーですが、市場には変化の兆しが見られます。投資銀行エバコアが米国の1,300人以上を対象に行った調査では、8%の回答者が主要検索エンジンとしてOpenAIのChatGPTを使用していることが明らかになり、そのシェアはGoogleの一部を奪っていることがわかりました。
この脅威は市場でも認識されており、その影響からアルファベットの株価は他の大手米国テクノロジー企業と比較して低い水準で取引されています。さらに、米国司法省がGoogleの分割を求める可能性があることも、低評価の要因とされています。
アルファベットのAI技術への取り組み
アルファベットはAI技術の最前線に立つ企業として十分な評価を受けていないかもしれません。しかし今週、同社は動画および画像生成ツールのアップグレード版を発表し、その先進性を示しました。同社の動画は人間の評価者から、OpenAIの「Sora」を含む競合モデルよりも高く評価されたとされています。
これらの動画生成ツールは、広告主やコンテンツ制作者に販売されることが見込まれています。ただし、市場が最も注視しているのはGoogleが中核事業である検索を守る能力です。
先週、GoogleはAIモデル「Gemini 2.0」を発表しました。このモデルはより自律的に動作する「エージェント」としての機能を強化し、来年には検索機能に統合される予定です。
スマートフォンでの「AIエージェント」競争
独立系アナリストのリチャード・ウィンザー氏は、「AIエージェントがスマートフォンで普及するのであれば、これはGoogleにとって絶対に負けられない戦いだ」と指摘しています。ユーザーがスマートフォン上でOpenAIのGPTやAIスタートアップ企業アンソロピックの「Claude」を選ぶようになれば、Googleはユーザーとの直接的な接点を失い、深刻な問題に直面する可能性があると述べています。
以上のように、GoogleはAI技術の強化を通じて競争に対抗しようとしていますが、AIエージェント市場での勝敗が今後の成長に大きな影響を与えると考えられます。
*過去記事 アルファベット GOOGL