アルファベットの量子コンピューティング技術が市場に衝撃を与える

米国の大手IT企業アルファベット(GOOGL)は、量子コンピューティング技術の分野で画期的な進歩を遂げたと発表しました。このニュースを受け、同社の株価は12月10日の米国市場の午後2時の段階で5.3%上昇し、184.6ドルで取引されています。

アルファベットは、新しい量子チップ「ウィロー」を搭載したコンピューターが、従来のスーパーコンピューターで数兆年かかる計算をわずか5分で解くことができると述べています。このこともあり、同社の株価は今年に入って32%の上昇を見せています。

アルファベットの「ウィロー」チップが可能にする新たな未来

アルファベットは量子コンピューティングの研究において重要な進展を遂げています。同社の量子チップ「ウィロー」は、量子コンピューティングにおける大きな課題の一つであるエラー率を大幅に削減することに成功しました。
従来のコンピューターは1または0のビットを使用しますが、量子コンピューターは量子ビット(qubit)を使用します。量子ビットは0と1の両方の状態を同時に持つことが可能で、従来のコンピューターを大きく上回る処理能力を発揮します。

量子ビットの増加はエラーの増加を伴うため、これまで実用化が難しいとされてきました。しかしアルファベットは、テストにおいて量子ビットの数を増やしながらエラーを減らすことに成功したと発表しています。

量子コンピューティングの競争は加速

アルファベットだけでなく、IBM(IBM)、インテル(INTC)、アマゾン(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、ハネウェル(HON)といった企業も量子コンピューティング市場で競争を繰り広げています。IBMは1980年代から研究を進めており、エヌビディア(NVDA)やアップル(AAPL)もこの分野に関心を示しています。

さらに、中国政府は量子コンピューティングに150億ドル以上の投資を行っており、米国と中国の競争が激化しています。

量子コンピューティングの応用可能性

アルファベットは量子コンピューティング技術が、新薬の発見、新エネルギー源の開発、サイバーセキュリティなど、多くの分野において応用可能性を秘めているとしています。この技術が実用化されれば、現在では不可能とされる問題の解決が可能になると見込まれています。

また、2024年1月にラスベガスで開催された家電見本市「CES 2024」では、アルファベットのロゴが量子コンピューター技術への期待を象徴するものとして注目を集めました。

米国政府の量子コンピューティングへの投資

米国政府は量子コンピューティングの研究を支援するため、国家量子イニシアティブ法やチップおよび科学法を通じて資金を提供しています。最近では、2018年の法律を再承認する法案が提出され、さらに27億ドルの資金が投入される見込みです。

一方で、量子コンピューターが実用レベルに達するのは2035年以降になると予測する専門家も多くいます。しかし、量子コンピューティングの発展は今後のテクノロジー分野に大きな影響を及ぼすと考えられています。


このように、アルファベットの新しい量子チップ「ウィロー」は、量子コンピューティングの実用化に向けた重要な一歩を示しています。競争が激化する中、量子コンピューティングの進展がどのような形で社会に影響を与えるのか、今後も注目が集まります。

*過去記事 アルファベット GOOGL

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