オラクルの株価急落、四半期業績に対する市場の反応

  • 2024年12月11日
  • 2024年12月11日
  • BS余話

前日に最新の四半期業績発表を行なったオラクル(ORCL)の株価が、12月10日の米国市場で7.5%下落しました。今回の業績が市場の期待を下回ったことで、投資家心理に影響を与えたと見られます。一方で、アナリストの多くはこの反応を過剰と見ており、同社の成長性に引き続き注目しています。

四半期決算の概要と市場の反応

オラクルは11月30日締めの第2四半期決算を発表しましたが、売上と利益が市場予想を下回りました。10日の取引では午前11時過ぎの段階で株価が7.5%下落し、176.11ドルとなりました。この動きは投資家の失望を反映したものですが、ウォール街の見方はより冷静です。

米国みずほ証券のアナリスト、シティ・パニグラヒ氏は、為替レートの逆風が売上と利益に影響を与えたと指摘しています。それにもかかわらず、同氏はオラクルのクラウドインフラ事業(OCI)が引き続き堅調である点を強調し、目標株価を185ドルから210ドルに引き上げました。さらに、人工知能(AI)関連需要の継続的な増加により、2025年までにクラウド事業の成長率が50%に達すると見込まれると述べています。

他のアナリストの見解と成長の展望

メリウス・リサーチのアナリスト、ベン・レイツェス氏もドル高の影響を指摘し、目標株価を210ドルに据え置き、格付けを「買い」と評価しました。同氏は、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)、アマゾン(AMZN)との取引や、メタ・プラットフォームズ(META)との新たな取引が同社の利益率を押し上げると予測しています。特にメタとは、同社のLlamaモデルに基づくAIエージェントの開発を進めています。

一方、JPモルガンは中立的な立場を維持しています。同社のアナリストは、為替レートと税率の調整後、オラクルの業績は比較的健全であると述べつつ、投資家がより余裕のある業績を求めている可能性を示唆しています。

熾烈なクラウド市場競争と将来の戦略

オラクルは、クラウド市場においてマイクロソフトやアマゾンといった大手企業との競争に直面しています。XS.comのアナリスト、アントニオ・ディ・ジャコモ氏は、オラクルがAzureやAWSとの統合を進めることで、市場でのリーチ拡大を図っている点に注目しています。同氏は、オラクルが利益率を損なうことなくクラウド市場シェアを拡大する戦略を実行できるかが鍵になると述べています。

今年の株価パフォーマンス

オラクルの株価は2024年に入り、67%上昇しており、S&P 500種株価指数の同期間の27%上昇を大きく上回っています。この数字は、同社が市場において依然として強いポジションを維持していることを示しています。

まとめ

オラクルは四半期業績の発表を受けて株価が下落したものの、多くのアナリストは今後の成長性に期待を寄せています。同社のクラウド事業やAI需要への対応が今後の成長を左右すると見られますが、競争が激化するクラウド市場での地位を確立するには、さらなる挑戦が必要となりそうです。

*過去記事「オラクル決算発表:AI需要で成長も期待にわずか届かず、その理由は?

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