2024年は、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)にとって画期的な年となりました。同社の事業は、人工知能(AI)関連製品の需要増加を受け、売上成長が加速。これが株式市場でも大きな注目を集めています。
パランティア株、S&P 500で年間トップの上昇率を記録
パランティアは9月にS&P 500指数(SPX)に組み入れられた後、株価が著しく上昇しました。12月6日時点で同社株はS&P 500構成銘柄中、年間上昇率トップを記録し、これまでトップだったビストラ(VST)を抜き去りました。
同日の取引では6.22%上昇し、年初来上昇率は驚異的な345%に達しています。また、2022年12月に6ドルで低迷していた株価は現在76ドルを超え、1,272%もの上昇を遂げています。
市場の評価とCEOの見解:分かれる意見
この急騰前、パランティア株への評価は大きく分かれていました。AI製品の成長可能性を高く評価する一方で、バリュエーション(企業価値評価)の高さを懸念する声も根強かったのです。
ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダニエル・アイブス氏は「パランティア製品が多くの企業に浸透し、AI活用事例が増える中、前例のない需要が見込まれる」と指摘し、目標株価を75ドルに設定。ウォール街でも屈指の強気スタンスを示しています。一方、2024年には複数のアナリストが高すぎるバリュエーションを理由に同社株の格下げに踏み切りました。
CEOアレックス・カープの反論:「過小評価されてきた歴史」
CEOのアレックス・カープ氏は、割高との批判に対し強気の姿勢を崩しません。「6ドルだった頃から同じことを言われてきた」とマーケットウォッチのインタビューで述べ、懐疑的な見方を過去に覆してきた実績を強調しました。
さらに、同氏は以下のように述べています。
- 「私たちが黒字化できないと言われた」
- 「IPO(新規株式公開)は無理だと言われた」
- 「キャッシュフローがプラスになったのは一時的だと言われた」
実際、パランティアは2022年12月期からGAAP(米国会計基準)ベースで黒字を達成しています。
AIで企業を変革する未来を展望
カープ氏は「パランティアのAI技術は独自の価値を有し、企業が『自社の本質的な意味』を再発見する助けになる」と強調。事業の根底から企業を変革する力があると自信を示しています。
専門家の懸念:再び訪れる市場リスク?
一方で批判的な見方も健在です。ウィリアム・ブレアのアナリスト、ルイ・ディパルマ氏は「2022年のような市場環境が再来すれば、再度調整が起こり得る」と指摘。過去に売上成長率の鈍化やバリュエーション見直しが株価下落を招いた経緯を挙げ、警戒感を示しています。
まとめ
パランティア・テクノロジーズは、AI市場拡大の追い風を受けてかつてない注目を浴びる一方、その株価の急騰はリスク面での懸念もはらんでいます。企業改革やAI戦略に注力する投資家にとって、同社の行方は今後も見逃せないものとなっています。
*過去記事はこちら パランティア PLTR