エヌビディア(NVDA)の株価は12月6日、市場が株価の動きを模索する中で下落しました。現在の市場状況では、大きな変動が見られないレンジ圏内での取引が続いています。
5日には、エヌビディアがTSMCとして知られる台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)とアリゾナ州で次世代AIチップ「Blackwell」の生産開始に向けた協議を行っているという報道がありました。この動きは、アメリカの輸出規制やトランプ関税の影響を軽減する手段として評価されていますが、市場への影響は限定的なものにとどまっています。
6日の市場動向とアリゾナでの動き
6日の米国市場でエヌビディア株は1.81%下落し、終値は142.44ドルでした。過去1ヶ月では3.52%下落していますが、先週5日間では3%の上昇を記録しており、引き続き堅調なパフォーマンスを維持しています。
エヌビディアの次世代半導体「Blackwell」は、市場で最も先進的な製品とされています。これまでは台湾のTSMCで製造されていましたが、ロイター通信の報道によれば、早ければ来年にもアリゾナ州での生産が開始される準備が進められているとのことです。
米国での生産移転の背景と意義
TSMCは現在、人工知能アプリケーション向けの先進的なチップの製造市場を独占しています。しかし、アメリカ当局の輸出規制によって、国家安全保障上の懸念から中国への出荷が制限されています。
これに加え、TSMCがアリゾナ州に建設中の工場では、エヌビディアの性能が劣るチップを生産すると予想されていました。しかし、先進的な半導体の一部生産をアメリカに移転することは、台湾を巡る米中の地政学的緊張の影響や、米国からの輸入品に対する関税リスクを軽減する可能性があります。
エヌビディア株価のこれまでの動き
エヌビディアの株価は今年に入り、既に188%上昇しています。その大部分は年初の急激な上昇によるものです。6月に記録したその時のピーク135.58ドル以降、株価は5%の上昇にとどまっていますが、依然として注目される銘柄の一つです。
エヌビディアがアリゾナ州での次世代チップ生産に向けた動きを進めている中、地政学的なリスク緩和や輸出規制への対応が株価にどのような影響を与えるか、引き続き注目が集まっています。
今後の見通し
エヌビディアのアメリカ国内での生産移転が実現すれば、米中の政治的緊張に左右されるリスクを抑えつつ、先進的なAI技術の開発を継続的に行うための基盤が整う可能性があります。一方で、輸出規制や関税問題といった外部要因の影響も無視できず、今後の市場動向は引き続き注意深く見守る必要があります。
エヌビディア株の今後の動きに関心を寄せる投資家にとって、同社の新たな動きがどのような成果を生むか注視することが求められています。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA TSMC