OpenAIが開発したChatGPTは、わずか2年で大きな成長を遂げ、テクノロジー業界に大きな影響を与えています。この中でも、特に影響を受けた企業の1つがアルファベット(GOOGL)です。
ChatGPTは2022年11月に発表され、わずか2年で急速に普及しました。アルファベットが所有するグーグルは1998年に設立されたばかりで、比較的若い企業です。しかし、この26年で、グーグルは世界の検索市場を支配する企業へと成長しました。
同様に、ChatGPTは従来の検索モデルを破壊する可能性を秘めています。自然言語処理技術に基づき、従来の検索とは異なる方法でユーザーのニーズに応えるこの技術は、グーグルをはじめとする既存の検索事業に大きな挑戦をもたらしています。
投資家が注目するChatGPTの影響力
現在、ChatGPTの検索回数は1日あたり10億回に達しています。一方、グーグルの検索回数は1日85億回です。グーグルが10億回に到達するまでに10年かかったのに対し、ChatGPTははるかに短い期間でこの規模に達しました。この急成長は、スマートフォンの普及などの技術的な進展によるものでもあります。
ChatGPTがさらに進化し、検索機能を強化することで、10年以内にグーグルに匹敵する存在となる可能性があります。さらに、広告やサブスクリプション製品を活用するビジネスモデルを確立することで、検索市場での競争力を高めることが期待されています。
アルファベットの取り組みと株価の評価
アルファベットも新しい競争環境に対応しています。同社は自社開発のAIモデルを基盤にしたジェミニというチャットボットを提供しています。このサービスは、ChatGPTと同様に月額料金を設定することが可能で、利用者にとって新しい価値を提供しています。
しかし、投資家の間では不安も広がっています。アルファベットの株価は、2025年の予想1株当たり利益の約19.2倍で取引されています。これは、マイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、メタ・プラットフォームズ(META)と比較して低い水準です。メリウス・リサーチのアナリスト、ベン・ライツェス氏は、ChatGPTや同様のAIサービスが株価に影響している可能性を指摘しています。
また、ライツェス氏は、競争や規制の圧力がアルファベットの株価を低迷させている要因だと分析しています。同氏はアルファベット株を「ホールド」と評価し、目標株価を200ドルとしています。
投資家の見解と今後の展望
ファクトセットによると、アルファベット株をカバーしているアナリストの82%が「買い」を推奨しており、平均目標株価は約210ドルです。一方で、規制や競争の課題を考慮する慎重な意見も見られます。
一部の専門家は、アルファベットが変化する市場環境の中で依然として検索とAI分野での競争力を維持し続けると見ています。同社の取り組みが今後どのように評価されるかが注目されるポイントです。
アルファベットの株価は12月5日現在173.54ドルで、今年に入って約24%の上昇し、S&P500種株価指数やダウ・ジョーンズ工業株30種平均の上昇と比較しても、堅調な動きを見せています。今後も市場の動向を注視し、AI市場での競争力を見極める必要があります。
*過去記事 アルファベット GOOGL