エヌビディア（NVDA）は、その驚異的な成長で市場を魅了しています。しかし、一部の投資家の間では、急成長を続ける企業が必ず直面する「大数の法則」が同社に追いつくのではないかという懸念が広がっています。メリウス・リサーチのアナリスト、ベン・レイツェス氏によれば、エヌビディアの今後の成長軌道について注意深く見る必要があると言います。
「大数の法則」とエヌビディアの成長への影響
ここで言う「大数の法則」とは、企業が規模を拡大するにつれて、成長率が次第に鈍化する現象を指します。たとえば、売上が小さい段階では、顧客数や売上を数倍に伸ばすことが比較的容易ですが、企業の規模が大きくなると、それ以上の拡大にははるかに多くのリソースや市場シェアが必要になるため、同じ成長率を維持するのが難しくなります。
エヌビディアの場合、現在の売上成長率は非常に高い水準にありますが、規模が拡大するにつれて成長が鈍化する可能性があると考えられています。アナリストたちは、2026年以降の成長率を約20％と予測していますが、同時に30％台の可能性も示唆されています。
エヌビディアの成長予測と「Rubin」の早期リリースの影響
エヌビディアの売上は2024年、昨年比で2倍以上の増加が見込まれています。また、アナリストは2025年の売上成長率を50％程度と予想しています。この数字は依然として非常に魅力的ですが、2026年以降の成長率については、さらなる慎重な議論が求められています。
次世代チップ「Rubin」の早期リリースの可能性がこの懸念を和らげる可能性があります。「Rubin」は2026年にリリース予定とされていますが、最近ではその出荷が予定より数か月早まるのではないかという憶測が強まっています。
AIバブルの懸念と「Rubin」の影響
AI分野の急成長がバブル化するのではないかという懸念もある中、「Rubin」の早期リリースは投資家にとって重要な意味を持つかもしれません。特に、超高速・低電力・大容量メモリを搭載した「Rubin」は、市場に大きなインパクトを与える可能性が高いと考えられています。
レイツェス氏は、「Rubinのリリースが早まることで、長期的には1株あたり6.50ドル以上の収益力に対する期待が高まる」と述べています。ただし、このような早期リリースが粗利益率にどのような影響を与えるかについては、慎重な評価が必要とされています。
エヌビディアの今後の課題と展望
エヌビディアが次世代チップのリリースを加速させることで、成長への懸念が緩和される可能性はありますが、同時に新たな課題も生じる可能性があります。特に、早期リリースに伴うコストやサプライチェーンの課題にどのように対応するかが注目されます。
レイツェス氏は、「エヌビディアはこのような移行を管理する能力を持っている」と評価していますが、投資家は依然として同社の戦略や市場環境を注視する必要があります。エヌビディアがこの成長をどこまで維持できるのか、また次世代技術がどのように市場に影響を与えるのか、今後の動向に注目です。
＊過去記事はこちら エヌビディアNVDA