サイバーセキュリティソフトウェア企業のZスケーラー(ZS)の株価は、12月3日の米国市場の正午前の段階で6%安の196ドルで取引されています。この下落は、前日の堅調な四半期決算発表にもかかわらず、控えめな将来予測と、長年務めた最高財務責任者(CFO)の退職というニュースが市場心理に影響を与えた結果とされています。
サービス需要の高まりも、株価のパフォーマンスは鈍化
クラウドベースのインターネットセキュリティプラットフォームを提供するZスケーラーは、企業のサイバーセキュリティソリューションへの支出増加を受けてそのサービスの需要が高まっているものの、株価の動きは同業他社に遅れを取っています。
需要の高まりが好調な四半期決算を支え、第1四半期の結果は市場予想を上回りました。同社の売上は6億2800万ドル、1株当たり利益は77セントで、ファクトセット調べのアナリスト予想(売上6億600万ドル、1株当たり利益63セント)を上回る結果となりました。
CEOのジェイ・チャウドリー氏は、「顧客エンゲージメントの拡大と強力な販売実行によって、第1四半期はすべての指標が予測を上回る堅調な内容となりました」とコメントしました。また、「ゼロトラストとAIの組み合わせは、新たな成長機会を生み出しており、当社のプラットフォームでそれらを最大限に活用していく」と語っています。
保守的な予測が市場心理を圧迫
アナリストの間では、2四半期連続で控えめな請求予測が発表されたことが「市場の期待を下回った」との見方が広がっています。
前年同期比で13%増の5億1670万ドルの売上を記録し、通年の売上見通しを31億2400万ドル〜31億4900万ドルの範囲に引き上げたものの、投資家の期待を十分に満たすには至りませんでした。
Zスケーラーはまた、調整後の1株当たり利益の予測を2.94ドル〜2.99ドルと上方修正しましたが、投資家は慎重な姿勢を崩していません。
CFOの退職が市場に与えた影響
2017年からZスケーラーのCFOを務めてきたレモ・E・カネッサ氏が退職することも発表されました。後任はまだ決まっていない状況です。
エバコアのアナリスト、ピーター・レヴィーン氏は「投資家からの信頼が厚かったCFOの退職は重要なニュースだ」と指摘しています。同氏は同社株式を「アウトパフォーム」と評価し、目標株価を245ドルに設定しています。
アナリストの評価と目標株価の動向
ファクトセットによると、3日にZスケーラー株の推奨を更新した23人のアナリストのうち15人が目標株価を引き上げており、現在の平均目標株価は223ドルとなっています。しかし、全員が強気なわけではありません。米国みずほ証券のグレッグ・モスコウィッツ氏は、競争が激化するセキュアアクセスサービスエッジ(SASE)市場でのZスケーラーの安定成長に疑問を呈し、目標株価を210ドルとする中立評価を維持しています。
同業他社との比較で遅れを取る株価
2024年に入ってからの株価パフォーマンスを比較すると、Zスケーラーは5.9%下落しており、競合他社の上昇に後れを取っています。たとえば、クラウドフレア(NET)の株価は26%、データドッグ(DDOG)は1.92%上昇しており、フォーティネット(FTNT)とパロアルトネットワークス(PANW)もそれぞれ63%と32%の大幅な上昇を見せています。
一方、クラウドストライク(CRWD)は2024年初めに停電による急落を経験したものの、36%の上昇を記録しています。このように、競合他社が勢いを増す中、Zスケーラーの株価パフォーマンスは相対的に見劣りする状況です。
今後の課題として、保守的なガイダンスとCFO退任による市場心理への影響をどのように克服していくのかが注目されます。