デル・テクノロジーズ(DELL)の株価は、11月26日のマーケット終了後に発表された四半期決算前までは大幅に上昇し、年初来で85%の上昇を記録していました。同社の株価はスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の経営難から恩恵を受ける可能性への期待から、近頃さらに目立つ動きを見せていました。
しかし27日の取引開始後、デルの株価は前日発表された売上見通しの弱さが響き、12.8%下落しました。この下落により、年初来の上昇率は62%に縮小し、S&P 500種株価指数でも最大の下落幅を記録する銘柄の一つとなりました。
AIサーバー事業、エヌビディアのBlackwellチップ供給改善に期待
デルは人工知能(AI)関連事業、とりわけAIサーバーの売上が注目されています。メリウス・リサーチのアナリスト、ベン・ライツェス氏は、エヌビディア(NVDA)の新型Blackwellチップの供給が改善されれば、デルの売上も好転すると予測しています。
ライツェス氏によると、デルのAIサーバー事業は引き続き受注が増加しており、来年にはこの分野で160億ドルの売上に達する可能性があると見込まれています。同氏は、「エヌビディアの供給制約は一時的なもので、将来的にはデルのような主要パートナーを通じて多くの利益をもたらすだろう」と述べています。
デル株の評価を「買い」とし、目標株価を155ドルに設定したライツェス氏は、現在の供給不足が解消されればさらなる上昇が期待できると強調しています。
エバコアISIもデルの成長に期待、AIサーバーとストレージ事業が鍵
エバコアISIのアミット・ダリャナニ氏も、デルの業績見通しに楽観的な見方を維持しています。ダリャナニ氏は、「1月四半期の見通しはやや弱含みだが、新年度に入ると複数の好材料が売上と1株当たり利益(EPS)の成長を促進するだろう」と述べています。
同氏は、デルの事業がパソコンのリフレッシュサイクル、急成長するAIサーバー事業、そしてストレージ分野の改善から恩恵を受けると分析しています。これにより、デルの競争力はさらに高まると見られています。
ダリャナニ氏はデル株を「アウトパフォーム」に格付けし、目標株価を150ドルと設定しました。
利益率の改善が示すデルの戦略的優位性
米国みずほ証券のデスクトップアナリスト、ジョーダン・クライン氏は、デルのAIハードウェア事業で利益率が改善している点に注目しています。同氏は「デルは競合他社のような価格競争を避け、利益率の高いティア2クラウド顧客や、AIを組み合わせた法人向けサービスに注力している」と指摘しました。
この戦略的なアプローチにより、デルは持続可能な成長基盤を築いていると評価されています。
投資家へのメッセージ:デルの将来性に注目
デル・テクノロジーズの株価は短期的には乱高下していますが、AIサーバー事業の成長やエヌビディアの供給制約の改善など、将来的な好材料が多数存在します。複数のアナリストが目標株価を150ドル以上に設定していることからも、同社の長期的な成長ポテンシャルが強く評価されていることがうかがえます。
デル株への投資は、AI分野の成長性を反映したポジティブな展望を持つ選択肢として注目されます。
*過去記事 デル・テクノロジーズ DELL