HPの最新決算結果:売上の明暗と市場の期待

  • 2024年11月27日
  • 2024年11月27日
  • BS余話

11月26日、HP(HPQ)が発表した第4四半期の決算結果は、ウォール街の予想を下回る部分もあり、投資家の間で注目を集めました。同社の株価は、発表後の時間外取引で約8%下落するなど、市場は敏感に反応しています。

第4四半期の結果:売上と利益の動向

HPの第4四半期の1株当たり利益は前年比3%増の93セントとなり、ウォール街のコンセンサス予想と一致しました。一方で、売上は132億ドルで前年比4%減少し、アナリストの予想である140億ドルを下回る結果となりました。

PC部門では売上が前年比2%増の96億ドルとなり、アナリスト予想の98億ドルを若干下回りました。一方で、プリンター部門は11四半期連続の減少を脱し、1%増の45億ドルを記録しました。この結果はアナリスト予想の42億ドルを上回るものです。

HPの利益予測と株価の影響

次期の1株当たり利益の予測について、HPは73セントを提示しましたが、これはアナリストの予想85セントを下回るものでした。この発表を受け、同社の株価は約8%の下落を見せました。

PC市場の成長とAI PCの展望

HPは第4四半期のAI PC販売が全体の15%を占め、平均販売価格の向上に貢献したと報告しています。しかし、販売台数の前年比成長率はわずか1%にとどまり、AI PCの普及による成長加速は今後の課題として残っています。同社は2025年度にはAI PCが販売台数の25%を占めると予測しています。

一部のアナリストは、PC市場の成長が次の要因で促進されると指摘しています。

  • Windows 10のサポート終了(2025年)
  • 老朽化したPCの買い替えサイクル
  • 新しいAI PCの登場

エヌビディア(NVDA)やクアルコム(QCOM)をはじめとするチップメーカーの進化が、PCの性能向上を後押ししており、特にクアルコムはHPを含む多くのAI PCの基盤を提供しています。

消費者市場と企業市場の動向

HPの成長は企業向け市場が牽引しており、同部門の売上は前年比7%増加しました。一方で、消費者向け市場は9%減少し、成長を抑制する要因となっています。

株主還元への注力

HPの最高財務責任者(CFO)であるカレン・パークヒル氏は、次のように述べています。

2022年度には、非GAAPベースの1株当たり利益とフリーキャッシュフローの成長を実現し、株主の皆様に約32億ドルを還元しました。また、将来への自信を反映し、年間配当金を5%引き上げます。

HPはフリーキャッシュフローのほぼすべてを株主還元に充てており、キャッシュフローの効率的な活用が評価されています。

今後の注目ポイント

PC市場の完全な回復はまだ見えていないものの、老朽化したPCの買い替え需要やAI PCの成長による追い風が期待されています。投資家やアナリストは、今後のHPの動向を注視しています。

HPの四半期決算は、課題と可能性の両方を示した重要な節目となりました。同社の売上構造の変化や市場環境を見据えた戦略が、将来的な成長の鍵となりそうです。

最新情報をチェックしよう!