デル・テクノロジーズ(DELL)の株価が、26日の四半期決算報告後に約10%下落しました。同社が発表した第3四半期の売上は244億ドルで、ウォール街のコンセンサス予想247億ドルを下回る結果となりました。一方で、調整後の1株当たり利益は2.15ドルと、アナリストの予想2.06ドルを上回る好結果を記録しました。
第3四半期のAIサーバー需要が過去最高に
デルは第3四半期における人工知能(AI)関連サーバーの受注が過去最高の36億ドルに達したことを明らかにしました。この分野の受注パイプラインは前年同期比で50%以上の増加を見せており、今後の成長が期待されています。
デルの最高執行責任者(COO)、ジェフ・クラーク氏は、プレスリリースで「AI分野は当社にとって大きな成長機会を提供しており、今後もその傾向が続くと考えています」とコメントしました。
今後の売上見通しと懸念点
デルはアナリスト向けの決算報告電話会議で、2024年1月期第4四半期の売上見通しを240億ドル〜250億ドルの範囲に設定しました。これは現在の市場コンセンサスである256億ドルを下回っています。同社によると、PCやストレージ事業などのAI以外のセグメントでは、顧客の購買活動が慎重になっているといいます。
一方で、デルはAI分野での需要拡大を背景に、業績の支えとなる戦略を強化しています。
最新のAIインフラで市場シェア拡大を目指す
デルはAI向けコンピューターおよびサーバー分野の大手プロバイダーとして、注目を集めています。同社の製品は、グラフィック処理ユニット(GPU)を活用するクラウドコンピューティング企業Coreweaveや、イーロン・マスク氏のxAIなどの企業による最新AIインフラの構築に採用されています。
また、ジェフ・クラークCEOは先週、デルがエヌビディア(NVDA)の最新AIハードウェア製品「GB200 NVL72 Blackwellシステム」を初めて企業顧客向けに出荷したことを発表しました。このシステムは72個のGPUを搭載し、従来のモデルよりも高性能であるため、AIモデルのトレーニングやクエリにかかるコストを削減することが可能です。
株価動向と今後の展望
デルの株価は年初来で約85%上昇しており、AI関連需要の高まりが業績を後押ししていることがわかります。しかし、PCやストレージ事業などのAI以外の分野における売上の減少が懸念されています。
今後の成長は、AI分野での市場シェア拡大と、新たな需要への対応力にかかっています。デル・テクノロジーズが引き続きAI分野での競争優位性を維持し、他の分野での弱含みをどのように克服していくのかが注目されます。
*過去記事 デル・テクノロジーズ DELL