米国最大の公的年金が注目する銘柄は?AT&Tとコストコ株を積極購入の理由

  • 2024年11月25日
  • 2024年11月25日
  • BS余話

カリフォルニア州公務員退職年金(Calpers)は、第3四半期に保有する株式のポートフォリオにおいて大幅な変更を行いました。この変更により、エンジンサプライヤーであるGEエアロスペース(GE)や電気自動車メーカーのテスラ(TSLA)の株式を売却する一方、通信大手のAT&T(T)や小売業のコストコ(COST)を購入したことが報告されています。

カルパースは、証券取引委員会(SEC)に提出した書類でこれらの取引内容を公表しました。同年金は運用資産額が5200億ドルを超える米国最大の公的年金であり、その動向は広く注目されています。

GEエアロスペース株式の売却

GEエアロスペースの株価は、2024年の最初の9か月間で85%もの急上昇を記録しており、S&P 500種指数の21%上昇を大きく上回っています。しかし、第4四半期に入ると同社の株価は約4%下落し、同指数が3.6%上昇している中でパフォーマンスがやや低迷しています。

カルパースは第3四半期中にGEエアロスペースの株式718,713株を売却し、保有株を200万株に減少させました。同社はエンジン事業で堅調な業績を報告していますが、投資削減の背景には運用戦略上の理由があると考えられます。

テスラ株式の保有を半減

カルパースは第3四半期にテスラ株式450万株を売却し、保有株を490万株に減らしました。テスラの株価は2024年の初めから9月末までに5.3%の上昇にとどまりましたが、第4四半期に入ってからは34%もの急上昇を見せています。

イーロン・マスク氏がテスラのCEOを務めており、政治的な影響も株価に少なからず影響を与えています。特に、トランプ大統領が再選された場合、電気自動車関連政策への影響が注目されています。

AT&T株の追加購入

通信大手のAT&Tは、2024年の最初の9か月間で株価が31%上昇しており、第4四半期に入ってからも5.4%の上昇を続けています。カルパースはこの第3四半期にAT&T株を650万株購入し、保有株を2950万株に増やしました。

AT&Tの収益は予想を上回りましたが、売上高は伸び悩んでいます。新たな政策の動向や市場の競争環境が今後の同社にどのような影響を与えるかが注目されます。

コストコ株を追加購入

コストコの株価は、2024年の最初の9か月間で34%上昇し、第4四半期に入ってからはさらに8.9%上昇しています。同社は小売業としての競争力を強化するため、金塊や銀貨に加えてプラチナ塊の販売も開始しており、投資家の注目を集めています。

カルパースは第3四半期に329,107株のコストコ株を追加購入し、保有株数を160万株としました。需要の変動にも柔軟に対応する姿勢が見られます。

カルパースの投資方針

カルパースは電子メールで、同年金のグローバル株式は「定量的かつ系統的な投資アプローチ」で運用されていると述べています。そのため、個々の資産や取引については通常コメントしない方針を取っています。

これらの取引は、同年金の長期的なポートフォリオ管理と市場動向への適応を示すものと言えます。GEエアロスペースやテスラの売却はリスク管理の一環である可能性があり、AT&Tやコストコの購入は成長の機会を見据えた動きと考えられます。

米国最大の公的年金であるカルパースの動きは、今後も市場関係者や投資家の注目を集め続けると思われます。

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