エヌビディア(NVDA)は11月20日に発表した第3四半期の決算報告書で、ウォール街の期待を再び大きく上回る業績を示しました。この結果を受け、多くのアナリストが同社を称賛し、エヌビディアがAIブームの恩恵を引き続き受けていることを改めて強調しました。
ウォール街のアナリストがエヌビディアを称賛
ウェドブッシュ証券のダン・アイブス氏は、エヌビディアの第3四半期の決算について「完璧」と表現し、「ルーブル美術館に飾るべき」だと述べました。さらに、ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)を「AIのゴッドファーザー」、最新のAIチップ「Blackwell」を「半導体界のレブロン」と例える独特の表現も用いています。
またアイブス氏は「エヌビディアが4兆ドルの時価総額、そしてそれ以上の道筋を示した今、年末から2025年にかけてのテクノロジー市場のさらなる上昇が期待される」とも述べています。
第3四半期の業績が予想を大幅に上回る結果に
エヌビディアの第3四半期(10月27日終了)の業績は、売上高や純利益のすべての面で市場予想を上回りました。これを受けて、JPモルガン、DAダビッドソン、バーンスタインなどのアナリストが目標株価を引き上げました。
DAダビッドソンのギル・ルリア氏は「ハイパースケーラーによるAIコンピューティングへの投資増加や、生産上の課題を乗り越えた供給能力を考慮すると、エヌビディアは来年さらなる成長の余地を持っている」と述べています。一方で、同氏はAI市場の過熱感や主要顧客の偏りといったリスクについても警鐘を鳴らしています。
エヌビディアの製品需要と市場の動向
JPモルガンのハーラン・サー氏は、エヌビディア株の「買い」評価を再確認し、目標株価を155ドルから170ドルに引き上げました。同氏は、新製品「Blackwell」が注目を集める一方で、既存の「Hopper」チップへの需要が根強いことを指摘しています。
トゥルイスト証券のウィリアム・スタイン氏は「エヌビディアは、革新文化やエコシステム、ソフトウェア、事前学習済みモデルへの投資を通じて、AI分野でのトップの地位を維持している」と述べました。
懸念材料とその克服
第3四半期の決算が予想を上回ったにもかかわらず、エヌビディアの株価は発表翌日に一時約1%下落しました。アナリストは、第4四半期の業績見通しが市場の期待を大きく上回るものではなかったことが影響したと分析しています。
エバコアISIのアナリスト、マーク・リパシス氏は「当社独自の情報源では、エヌビディアがBlackwellの生産をフル稼働で継続しており、第4四半期の出荷が予定より早まる見込みである」と述べ、市場の不安を鎮めています。
エヌビディアと米中関係の影響
ここ数カ月間、エヌビディアの株価は、AI関連の支出の頭打ちや米中貿易制限の影響を懸念して下落する局面もありました。同社のデータセンター売上の14%が中国市場によるものであるため、貿易政策の変化が潜在的なリスクとして浮上しています。
半導体業界の専門家であるクリストファー・ミラー氏は「半導体自体は関税の影響を直接受けにくいが、関連製品の需要低迷が波及する可能性がある」とコメントしています。
エヌビディアのさらなる市場拡大の可能性
エヌビディアはAI向けのコンピューティング製品だけでなく、幅広い市場での優位性を築いています。来年には、従来型の消費者向けCPUをリリースする予定であり、市場の拡大が期待されています。
Voltron DataのCTOであるロドリゴ・アラマル氏は「エヌビディアはAI市場だけでなく、多岐にわたる分野で優れたポジションにある」と述べています。
エヌビディアは、革新を続けることで、これからのテクノロジー市場においてさらなる成長を目指しています。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA