アルファベット（GOOGL）の株価が大幅に下落しましたが、投資家がパニックに陥る必要はないかもしれません。現在、バイデン政権がグーグルにウェブブラウザ「Chrome」の売却を求める可能性が浮上しています。このニュースは、米司法省がオンライン検索市場におけるグーグルの独占状態を打破しようとしている背景に端を発しています。この記事では、この出来事の背景、株価への影響、そして投資家が知っておくべきポイントについて詳しく解説します。
司法省の主張：グーグルの独占状態にメス
司法省は11月20日、グーグルがオンライン検索市場に与えた「10年にわたる損害」を是正するため、同社が「Chrome」を売却すべきだと述べました。これにより、オンライン検索でのグーグルの優位性を減少させることを狙っています。
グーグルの最高法務責任者であるケント・ウォーカー氏は、司法省の提案を「驚くべきもの」と批判し、「グーグルの製品を壊すものだ」と述べています。一方で、リー・アン・マルホランド氏（規制関連業務担当副社長）は、「この提案はアメリカの技術的リーダーシップに害を及ぼす」と指摘しました。
株価への影響：短期的な下落
ニュースを受けて、アルファベットの株価は21日に5.9%下落し、165.51ドルを記録しました。この下落は市場全体には広がらず、S&P 500指数（+0.67%）は横ばいを維持しています。
しかし、専門家はこの下落を過剰反応とみています。ブルームバーグ・インテリジェンスによれば、Chromeの売却価値は約200億ドルと推定されています。これはアルファベット全体の市場評価額2兆2000億ドルのわずか1%以下にすぎません。
過去の事例：マイクロソフト裁判との比較
今回のグーグルへの訴訟は、2000年のマイクロソフト裁判と類似点があります。当時、裁判官はマイクロソフトの分割を命じましたが、後に控訴審でその決定は覆されました。同様に、グーグルも控訴する意向を示しており、裁判がどのように進展するかは不透明です。
また、裁判を担当するアミット・メータ判事は、既存の判例を踏まえて慎重に判断する可能性が高いとされています。分割が実現しないシナリオも十分に考えられます。
投資家にとっての重要ポイント
- Chromeの売却はアルファベット全体への影響が限定的
Chromeはグーグルの売上全体の中で比較的小さな割合を占めており、仮に売却が実現しても、同社の検索エンジン事業やクラウド事業への影響は少ないと予想されます。 - ユーザーの移行は限定的
分割が行われたとしても、ユーザーがグーグル検索からBingやDuckDuckGoなどのライバルサービスに乗り換える可能性は低いと見られています。 - 裁判の結果は不透明
過去のマイクロソフト事例のように、控訴審での逆転や、訴訟そのものが長期化する可能性もあります。
まとめ：投資家は冷静に対処を
今回の訴訟はグーグルにとって重大な局面である一方、同社の主要事業に対する影響は限定的とみられます。アルファベットの株価下落は短期的な過剰反応であり、長期的な視点で見れば、同社の成長ストーリーに大きな影響を与える可能性は低いと予想されます。
投資家としては、株価の一時的な動揺に左右されず、グーグルの技術力や市場優位性を引き続き注視することが重要です。
＊過去記事 アルファベット GOOGL