米国で最大級の年金基金の一つであるミシガン州退職年金制度(State of Michigan Retirement Systems)が、最新の株式取引で注目を集めています。同基金は、テクノロジー株であるパランティア・テクノロジーズ(PLTR)とインテル(INTC)に積極的な投資を行い、一方でCVSヘルス(CVS)への出資を増加させる一方、製薬企業ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY)のポジションを大幅に削減しました。この記事では、これらの動きの背景と今後の見通しについて詳しく解説します。
ミシガン州退職年金制度の概要
ミシガン州退職年金制度は、純資産が1,088億ドルを超える米国第21位、世界第49位の規模を誇る年金基金です。このような巨大ファンドの投資動向は、市場に対する大きな影響力を持つため、注目が集まっています。同制度は、四半期ごとに提出される証券取引委員会(SEC)の書類を通じて、株式取引の内容を公開しています。
テクノロジー株への積極投資
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)
ミシガン州退職年金制度は、第3四半期に548,400株のパランティア株を追加購入し、同社への保有株数を106万株に倍増させました。2024年、パランティア株はS&P 500指数を大幅に上回る117%の株価上昇を記録しています。さらに、第4四半期に入ってからも株価は77%上昇しており、AIやデータ分析分野での成長が評価されています。
パランティアは、第3四半期に好調な売上を報告し、今後の売上予測を引き上げました。また、S&P 500への追加や、ナスダック100への参入可能性も市場の期待を後押ししています。
*過去記事はこちら パランティア PLTR
インテル(INTC)
同基金は、インテルの株を追加購入しました。インテルは2024年の最初の9か月間で株価が53%下落する一方、第4四半期に3.8%の上昇を見せました。同社はダウ平均株価構成銘柄から除外されたものの、AI関連の取り組みに注目が集まっています。
*過去記事「インテルが12月期見通しを上方修正!市場予想を上回る強気のガイダンス」
ヘルスケアセクターの注力と製薬株の削減
CVSヘルス(CVS)
ミシガン州退職年金制度は、第3四半期にCVS株を120万株追加購入し、保有株数を320万株に増加させました。CVSは10月中旬に第3四半期の業績低迷を警告したものの、大統領選挙後に株価が回復しています。特に、政府のメディケア・アドバンテージ・プランに関連する売上への期待が高まっています。
一方、同社のCEO交代や業績低迷の影響もあり、2024年の最初の9か月間で株価は20%下落しましたが、第4四半期では15%の下落にとどまっています。
ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY)
同基金は第3四半期に400万株のブリストル・マイヤーズ株を売却し、保有株数を714,100株に削減しました。同社は第3四半期に好調な収益を報告し、株価も第4四半期には8.7%上昇していますが、年金基金はポートフォリオの調整を行った形です。
投資動向から見える戦略と今後の見通し
ミシガン州退職年金制度の今回の動きからは、以下の投資戦略が読み取れます。
- 成長株への積極投資
特にパランティアのようなデータ分析やAI分野で急成長する企業に注力している点が顕著です。 - 安定性を重視したポートフォリオ調整
CVSのようなヘルスケア株を増やす一方、ブリストル・マイヤーズのような製薬株への依存を減らしています。 - 割安感のある銘柄の選定
インテル株の追加購入は、同社が再成長する可能性を見越したものと考えられます。
まとめ
ミシガン州退職年金制度の投資行動は、AIやヘルスケアといった成長が期待される分野へのシフトが見られます。一方で、製薬企業におけるポジション縮小は、市場環境や収益構造を見据えたリスク管理の一環と考えられます。こうした巨大年金基金の動きは、市場全体への影響力を持ち、個人投資家にとっても学ぶべきポイントが多い内容です。