アップスタート・ホールディングス(UPST)の第3四半期の売上は、アナリスト予想の1億5040万ドルを上回る1億6200万ドルを記録しました。これは前年同期比で20%の増加に相当します。また、損失も縮小し、純損失は680万ドル(1株当たり7セント)と前年同期の4030万ドル(1株当たり48セント)から大幅に改善しました。調整後の1株当たり損失は0.06ドルで、アナリスト予想の0.14ドルを上回っています。
さらに、アップスタートは金利、税金、減価償却前利益(EBITDA)で140万ドルの黒字を計上しました。この数値もアナリスト予測の590万ドルの損失から大きく改善しており、同社の堅調な成長を反映しています。
AIを駆使した融資モデルによる強力な成長
アップスタートはAI技術を活用した与信モデルを採用し、個人向けローンの審査を行っています。このAI融資モデルにより、従来のスコアリング手法と比較してより精緻なリスク判断が可能になり、転換率の向上に寄与しています。CEOのデイブ・ジルアード氏は、「当社のビジネスは再び素晴らしい成長モードに入りました」と語り、AIモデルの精度向上が業績拡大の重要な要因であることを強調しました。
第3四半期におけるローン件数は前四半期比で43%の増加を記録しました。ジルアード氏は、「より優れたAIモデルがより高い転換率に繋がる」と述べ、AIモデルの精度がアップスタートの融資業務において競争優位性をもたらしていることを示唆しています。
金利上昇による影響と今後の展望
近年の金利上昇は個人向けローン市場全体の需要を抑制する要因となっていますが、アップスタートは資金供給の面で前進を遂げ、これを克服しています。2021年の高値から一時的に下落していた株価も、2024年に入り回復基調にあります。同社の成長軌道は、AI技術の進展とその運用効率によって支えられています。
ジルアード氏は、「マクロ経済からの大幅な後押しがなくても、当社は成長モードに戻っている」と述べ、AIによる融資判断が企業の持続的成長を支えていることを強調しました。
競合他社との違いとAIの未来
アップスタートの業績好調は、レンディングクラブやソーファイなど他のフィンテック企業にも影響を及ぼしています。これらの企業も延滞動向の改善を見せており、AI技術を活用した融資モデルが市場の主流になりつつあることを示唆しています。
アップスタートはAI企業としての先駆者的な役割を果たしており、特に予測AIに焦点を当て、リスク管理を最適化することで融資業務の効率を高めています。ジルアード氏は、「アップスタートはAIによる与信判断の未来を担っています」と述べ、同社が今後も成長を続ける見通しを示唆しました。
まとめ
アップスタート・ホールディングス(UPST)の2024年第3四半期決算は、AI技術を活用した革新的な融資モデルの強みを裏付けるものでした。市場予想を上回る業績を記録し、時間外取引で株価は16%上昇しています。金利上昇の影響にもかかわらず、同社は成長軌道に戻り、今後もAI技術による融資分野での競争力を強化していくと見られます。
アップスタートの成長戦略に注目が集まる中、AI融資分野でのイノベーションがどのように業界に影響を及ぼすのか、投資家にとっても重要なテーマとなります。
*過去記事はこちら アップスタート UPST